'11年 6月   「 春から夏へ 」      



北海道より 小柴です。

震災から4カ月が過ぎました。
いかがお過ごしですか?

火事場泥棒が横行し
言ってみただけの総理会見があり
自然エネルギー独占の先陣争いや
放射線への過敏反応が社会問題となりつつある
今日この頃であります。

何が正解とは言えない
複雑な社会情勢の中で
これだけは間違いなく言えるのが
「農業は社会・経済の源泉である」
ということでしょうか。

全ての経済の原点は
農業へ帰納されてきます。

色々なことがあり
色々な反応があり
色々な意見があり
でも
私たちは社会の原点に位置して
毎日の仕事に事欠かない
そして少なからず
社会への貢献も出来ている。

秘かな誇りなんです。

自分の足元を見つめなおすには
最適の職業です、農業とは。








6月は農家が一番忙しい月
畑造りや定植が真っ盛り
4月よりも忙しいでしょう。

しかもアスパラ収穫がラップしますので
その忙しさたるや
言葉でお伝えできません。
(単に表現能力が足りないのか?)

今年のアスパラは
生産量が安定して多く
毎日2時間は収穫にかかり切り
その後の出荷調整も2時間以上
他の業務を圧迫する限界まで
アスパラは攻めてきました。

一方でアスパラの取引単価は安く叩かれ
いったい人の仕事をなんだと思っているんだ!?
という憤りが出るほどの
酷い取引模様でした。

農家は原点でもありながら
末端でもあります。
経済の源泉を提供する立場ながら
経済搾取の集約点でもあります。

搾取される階級として
6月は忙しく働かせて
頂きました。





さて
今月のテーマは
「 春から夏へ 」


毎年6月は忙しいけど
その6月の中でも今年は特に
忙しかった。

こんなんで永くやっていけるのかしら?

自分たちの体力と寿命が心配となる
この6月でした。
(まったく大げさなやつらです)

生産量を増やしたわけでなく
昨年の異常気象でメタメタにやられた
そのリベンジの今年
アスパラ収穫が増加した分だけ
余計に忙しい。

嬉しい悲鳴は
見返りが十分な時だけ。
今年の見返りは残念ながら
悲しい結末。

価格はタイミングを外すと下落します。
需要と供給のバランスと
ある経済学者は言いましたが
その学者自信がのちに
そんなバランスはあるわけない
と打ち明けました。
神の見えざる手によってバランスする価格
そんなものは無いんだと。
この春はまさにその通り。
タイミング外れたら需要も供給も関係ない
ただ下落するのみ。
あ〜、神の見えざる手〜

されど仕事は続けましょう!
働けることが幸せな昨今
その意義を確かめつつ
「必ず突破する日が来る」
と信じて、働きましょう。

毎日毎日、「突破する日」を信じて
忙しく振舞った6月は
春から夏へのステップアップの月

去年を上回る寒さの春
そして去年を上回る暑さの夏
その切り替えが6月にありました。

畑の風景とともに
お伝えします。

どうぞお楽しみ下さい。











1.アスパラの春から夏




















今年のアスパラは
タップリと出てきてくれました。

忙しかった〜

総収量はこれまでで一番
たった2反の畑でも
1トン以上が収穫できるんです。

しかも多くのお客様に喜んで頂けた。

名残芽が本当に名残を惜しむ方から
名残惜しそうにお代り注文頂いて
本当にアスパラ冥利に付きました。

我が代表も50日間を
良く一緒に頑張ってくれました。

毎朝の2時間、早飯済ませて
子供が寝てるうちに畑に来て
アスパラ収穫が終われば
そのままメロンハウスへ行ってお昼までぶっ通し
本当によく頑張ってくれました。


御贔屓下さったお客様へ
本当にありがとうございました。
来年もより美味しいアスパラ
旨みを実感してもらえるアスパラ目指し
これから手入れを始めます。
皆さんから頂いた声を励みに
初冬までの仕事に精を出します。

本当にどうもありがとうございました。










2.かぼちゃの春から夏










雪解けから2か月を経て
草生す畑となりました。

これからメルヘンかぼちゃが植えられる畑
去年、排水対策を追加して、奏功しました。
ことしもゲリラ豪雨への効果を期待しています。

まずは昨年のマルチフィルムをはぎ取ります。
後片付けの時、男の情けなさを感じます。
普段の家事の賜物なのか
後片付け業務は、代表が断然上手です。
どうも私はオタオタしてしまいます。
やっつけられません。














さて次は「海のミネラル堆肥」を撒きます。
およそ 3トン/反 の「海のミネラル堆肥」を
タップリと圃場へ散らかします。
毎年、土がふっくらして来るのを実感します。
前作の残渣や根が、補充される堆肥と融合し
畑の土を深いところから肥やしてくれます。

その次はプラソイラで深耕します。
深さ50cmまで地盤を破壊して
しかも深層の土を地表まで持ち上げます。
こうして少しずつ少しずつ、土を入れ替えて
全層に有機物を行き渡らせるのです。
有機物を梳き込みながら
溝を切って崩す、溝を切って崩す
時間をかけて土を造るのです。






















苗は播種から2週間で定植です。
ポッドで植える農家が多い中
我がふあーむはプラグ苗で芽を出して
早期に畑へ下ろします。
6月下旬ともなれば十分暖かく
苗は早く畑に下ろしてやった方が
素早く丈夫に活着できます。
スタートダッシュに手こずらないのが
良い収穫の条件たる一つです。

ことしは定植後の高温乾燥で
いくつかの苗が死にました。
100%守り切れなかったのは
私の技術が未熟だからです。
定植時の手間をもう一つ加えていたら
いくつかの株は救えたでしょう。
来年への反省課題が最早出来てしまいました。
それ自体も反省ですね。



















さ、そこまで行ったら砕土です。
大きなブロックに壊して持ち上げた土を
ロータリーで細かく均質に砕きならします。
この工程でその年の畑の出来具合が、大体わかります。
土のほぐれ具合が、エンジン負荷に直接伝わり
あ、柔らかいな、とか
おや、まだ締まってるな、とか
だいぶ有機物がなじんでるな、とか
もう少し時間が必要だな、とか。
トラクターという機械を通してですが
まるで自分の手先でこねているような感触で
土をほぐしていくのです。

畑造りの最後はマルチングです。
両脇から土を掻き寄せて盛上げて
新しいマルチフィルムでくるみます。
そう、それはまるでオムライスのように、です。
綺麗にくるめたベッドは風にも暑さにも強く
苗を雨や乾燥、草や病気、そして害虫と
色々なものから守ってくれます。
苗がしっかりと根付いて、畑の支配権を獲るまで
マルチフィルムが支えてくれます。





かぼちゃは、さも簡単に、手っ取り早く出来ると
皆さん思われると思いますが
さにあらず。

かぼちゃは、結構デリケートで難しい作物です。
私たちは同じウリ科のメロンも育てているので
かぼちゃの生理が良く見えますが
根の強さやではメロンの方が上かもしれません。

驚きました? メロンよりかぼちゃの方がデリケートって。

かぼちゃは難しいんですよ、ほんと。
確実に着果してもらって、大きく膨らませてもらう
露地の畑で栽培するがこそ、100%が難しい。

収穫の時はいつも、くじを引く心境です。
当りが出るか、外れが出るか
ドキドキ、ビクビクしながら
葉陰に隠れている実を探しまくります。

収穫予定は9月下旬
お届けは10月中旬からです。

あなたも私たちを一緒に
スリリングなくじ引きに参加しませんか?
いい実が出来るか、はたまた・・・
どうぞお楽しみに。










3.家族の春から夏











次男坊
一過性全健忘症

ラグビーの試合中に何かあったらしく
(本人が覚えていないので)
2日間くらいの記憶が全部飛んでしまった。

しかも復帰に2日間くらいかかった。

つまり4日間弱の記憶が飛んでしまった。
目の前にいるのは次男なんだけど
眼が心もとなくてふわふわしてる。

外傷検査のフルコース
別な視点で言えば
科学の力って凄いと思う。

工業検査の分野で言えば
非破壊検査
これだけの非破壊検査法を確立して
計測機器を量産しているんだもの。

次男
この事故の直後に期末試験
相当凹んでいた。
ただでさえヤバい成績なのに
一層のヤバさに、一層凹んでしまった。

いちおう受験生です。
半年後には、センター試験を受ける身です。

大丈夫かい、おい?














自分が経営者だからか
他人の商売には敏感になってます。

このラーメン屋さん
若い3人が張り切って経営している
独立系ラーメン屋です。

店もよく掃除されていて
神棚には恵比寿様とエビス
洒落っ気いいですね。

よそのお店に行った時は
ただ厳しい目で見るだけじゃなくて
何かしらを勉強させてもらいます。

自分達に足りないところを
教えてもらってます。

僻地で経営していると
世間知らずの唯我独尊に陥りやすい
そこんところを自覚して、意識的に外の空気を吸わねば
皆さんにとって価値の無い存在となってしまいます。

私たちが皆さんに提供できる価値は何なんだろう?
そこをいつも忘れていけないと思ってます。
提供できる価値、すなわち私たちの存在価値
いまの状態に甘んじることなく
常に模索し続けていこうと思ってます。
















遠州(静岡県西部地方の旧名称)では
有名な?旧大東町の亀まん

味噌パンのようなゴワゴワした生地の中に
デンプンで膨らました甘いだけのあんこが
ギッシリ詰まっています。

美味しいと思わない。

だけど遠州人にとっては
ソウルフードの一つらしい。

我が代表と息子達は
亀まん大好きです。

わたし? 微妙です。
というのも、もとは嫌いでしたが
肉体労働者になってから
無性に甘いものが欲しくなる体となり
いまでは甘けりゃ何でもいいや
という状態にまで悪化。

なんと、亀まんクラブに入会してしまいました。

私はもっと品の良いお菓子が好きなのになぁ。
ブツブツブツ





と、思っていたら
なんとお客様からアスパラへのお返しにと
都会の匂いがするバウムクーヘンが届けられました。

久しぶりの都会の匂い
いいもんだなぁ

おいしかったぁ

アスパラの代金はちゃんと頂いているにもかかわらず
それ以上に満足頂けたのか?
こんなことを経験できるのも
農家冥利に尽きます。

時間と手間をかけてお届けしたアスパラが
人と人のこころを繋いでくれました。

こういう関わりが無形の財産となって
我がふあーむを支えてくれています。












三男坊
中体連惜敗

部活引退して受験に専念
のはずだったのが
悔しくてあきらめきれず
秋の駅伝まで部活延長!

おいおい、大丈夫か?
まぁ、君の人生だから
あとで文句言うなよ。

いいかい、部活も勉強も
手抜きするでないぞ。
もはや、ええかっこしいや逃げ口上は
通用しない時期に差し掛かってる。
兄ちゃん達を見て憧れるなら
それなりの覚悟を持ちなさい。

覚悟とはね
何かを貫くための犠牲に対する
責任を言うのだよ。

犠牲に対する責任

よ〜く、覚えておいてね。
一生必要な概念だぞ。











作業用の時計が電池切れ
カシオの2千円で買った時計

電池交換はこの辺りでは出来ません。
高いガソリンを焚いて
往復50kmの道程を行かねば
時計屋さんはありません。

そんな僻地事情もあって
思い切って信頼性100%の時計を
新規調達することにしました。

時計は圃場の作業時にはもちろん
メロンなどの灌水作業時に
秒単位の管理に必要なんです。

今度の時計もカシオ
ソーラー電波時計で完全メンテナンスフリー
どんな僻地にいても大丈夫
時間も狂わなきゃ、電池切れもない

僻地の農家には持って来いのスペックです。
この時計との付き合いは長くなりそう。

やっぱり時計は
タフなものに限ります
私のような身分には。

壊れたブライトリングは
永久にお蔵入りだろうな。
修理に7万円もかかるようじゃね。
昔の栄光ということで
記念品となりました。










4.メロンの春から夏



















寒さ、暑さ、日照り、雨続き
そして、害虫や病気

色々なことに関わりながら
育ってきたメロンの玉

1株に4玉が結果します。

なぁ〜んだ、1株1玉じゃないんだ!
こだわりじゃないのね!

と言う声が聞こえてきそうですが
さにあらず。

1株1玉の立茎栽培とは
張り巡らす根っ子の量と
抱え込む土の量が比較になりません。

立茎栽培は土地を節約するのが主眼
ですから
縦に育てて株を密集して作ります。

こだわり栽培で1株1玉かもしれませんが
実力としてそれ以上の玉を結実させることは
樹の力が無くて無理なのです。

北海道の地這栽培では
土地にゆとりがあるので
おおらかに植えて、おおらかに伸ばします。
張り巡らす根っ子の量と、抱え込む土の量は
樹の力そのものです。

1株4玉だから
こだわりじゃないというのは間違い!
1株で4玉も仕上げるほど
凄い力を持つほどの樹を育てる
そういうこだわり栽培と御理解下さい。


病気にも、虫にも負けず
ミツバチによる自然交配で
丹念に仕上げてきたメロンの玉です。












畑で手に取る収穫したての玉

ホッと一息
ジワッとくる嬉しさ

女性の我が代表に聞くと
出産直後の安ど感に似ているそうです。

あ〜、責任果たした〜
という感じだそうで
毎年毎年、一作ごとに出産しているような気分
息子達が巣立っても
メロンを育てている限り
寂しい気分には襲われないかも・・・
と仰ります。

確かにそうですね。
私もそう感じます。
実の子供と同じように
畑には私たちを待っているこども達がいるんです。

だから獲り終えたときは
ホッとする気持ちと同時に
寂寥感も伴うのです。

だから、また作りたくなるのかも
ですね・・・
















玉が生きている証拠

切り離した蔓から、命のしずくが垂れ落ちます。
玉の浸透圧が高いから
樹液が逆流してくるんですが
それはすなわち
玉はまだ膨らみたがっている証拠です。

最後の最後まで養分を蓄えて
次世代の種に栄養を持たせてやろうという
メロンの生理現象

とても神秘的で厳粛な光景です。

これを見ると
人間様の都合は、本当に我が儘に思えます。

品質管理とは別な視点で
自分たちが一緒したメロンの玉たちは
たとえどんな味でも
たとえどんな甘さでも
愛しくて愛しくて、全てが許せます。

あ〜、おまえはこう育ったんだね
でも良く頑張った
おまえはおまえで苦労したし
素質を上手に伸ばしてあげられなかった
私達が悪いんだよ。

とにかく、ありがとう

そういう真摯な気持ちになるんです。
この子たちと接しているとね。

作物を通じて
イイ勉強させてもらってます。
















今月も 有難う御座いました。

「 春から夏 」

いかがでしたか?


最近は写真の数がやたら多い
月報です。

写真の行間から
畑の雰囲気が伝わっていると良いのですが
いかがでしたか?





3月1日から除雪を始めて
その延長上で結実したメロンたちが
今年は7月12日から旅立ち始めました。

みなさんへのお届けロットは
7月22日収穫ロットからとなります。

その違いは何?

天候の関係もあり
品質の信頼性がより高いのが
第2ロットからなんです。

第1ロットは、やはり技術的に難しい。
だから、慎重を期したいのです。

第2ロットのお届けまで
もう少しです。

みなさん、どうぞお楽しみに。


 














遠い山並みのグラデーションに
いま住んでいるところを実感します。

自然環境に恵まれているなぁ。
山間の町の籠り感が好きですねぇ。
ここは北海道らしくない籠り感のある町
開拓からまだ100年程度の町ですが
太古からの山々が新参者を優しく包んでくれます。

今期の活動も
振り返ればもう半分が終わりました。
まだまだ難関が待ち受ける北海道の農業
試合の流れを持って行かれないように
テンション切らさずに最後まで緊張していきます。

高い次元の楽しみ方を
農業を通じて体験できれば
人生とても充実しそうです。


それではまた来月お会いしましょう。

ありがとうございました。








 


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