'11年 5月   「 天候不順 」      



北海道より 小柴です。

震災から3カ月が過ぎました。
いかがお過ごしですか?

日に日に一時のパニック状態が薄れて
各地では平常生活に戻りつつあるようですが
被災地ではその分、取残され感が募っているようです。

例えが極端かもしれませんが
大切な人のお葬式が出たとして
一連のセレモニーが詰まっている初七日までは
気が張っていて悲しみや喪失感は誤魔化せます。
でも周囲の人達が引潮が如くサァーッと居なくなった後
本当の辛さが待っていますね。

いま被災地の皆さんは
そのような辛さを味わっていらっしゃるのではないかと
少々勝手に想像しています。
事態が飲み込めてきた今からが
本当の試練の始まりかもしれず
その時に周囲の人が為せることは何なのだろうか
と、考えています。

義捐金だけで本当に良いのかな?
かといって自分の生活も守らねばならぬしな
精神的な支援は無理なのかな?
うちの農産物を贈ることも自己満足かな?

等など、ええかっこしいと言われようとも
頭の一部分でずーっと考えています。
心の一部分でずーっと感じようとしてます。

答えは見つかっていません。
でも考え続け、感じ続けていきたいと
決めています。








5月は天候不順でした。

雪解け水が地面から抜けないうちに
次から次へと雨が降り
土がずーっとドロドロな状態でした。

今年は昨年に引き続き
天候不順の兆しです。





天候不順でも畑作りは進みます。

アスパラ、メロン、かぼちゃ

アスパラは寒くて萌芽が遅れました。
メロンは寒くて開花まで時間がかかりました。
かぼちゃは寒くて畑作りに時間がかかってます。

されど止まぬ雨はない!

ほれ見たことか
6月に入り天気は好転
作業が一気に進み始めました。

悪天時に何も出来なくて
滞っていた作業がいっぱい

もっと平均化して仕事したかったなぁ

なんて勝手をつぶやきながら
機嫌良く仕事を進めます。






さて
今月のテーマは
「 天候不順 」


そのまんまです。

特に付け加えることはありません。
どんよりした空とか
出来の悪いベッドとか
水がもたらす百景の羅列を
お楽しみください。











1.安定しない天気


























ほんとに寒かった

桜が満開になり切れぬうちに
散って行きました。

まったく昨年と同じになってきました。

栽培管理は心してかからねば
いけませんね。










2.アスパラは故郷を届けた












































寒い春に耐えて耐えて
例年より2週間近く遅れて萌芽したアスパラたち

この春の便りを心待ちにしていたお客さまからも
「おい、どうした?」
と、不安げな催促が届いていました。

寒かったんですもん、この春は。
雪も降っていたんですもん。

だから、今年の初芽は
ものすごく歯応えがあり
一部のお客様には硬いと思われた節があり。

でも一方では、耐えていた時間が長い初芽を
物凄く味が濃くなっていると感じた
お得意さまもいらっしゃって
おおむね良好な手応えが伝わってきました。


ふるさとの味
北海道の味

そうなんです、このアスパラを食べて
しばし郷愁にふけられたお客様が
何人かいらっしゃいました。
召上がられた感想メールを頂いて
こちらまでもらい泣きしてしまいました。

わたしも20年を本州で勤務して
北海道への忘れがたき郷愁は
痛いほどわかります。

郷愁の対象は、幼少の頃
まだ世の中が不自由だった頃
貧乏で苦労の多かった頃
健康で文化的な生活なんて言葉が
都会のインテリの非現実だった頃

そうだね、小学生の頃の北海道は
みんな臭かったし、汚かったし
運動会は裸足や足袋だったし
生活保護世帯だらけで転校生はいつもいっぱい
テレビも車も電話も、お店以外の家は持ってないし
お母さんは畑の出面に出かけて留守だったし
お父さんが出掛けたまま居なくなっちゃう家も何軒かあった。
友達の家に遊びに行くと、いつも違うオジサンがいたり
それだけ世の中がまだまだざわめいていて
思えば戦災復興で立ちあがる最中だったのだと思う。

北海道の農村はもっともっと色々あった。
畑仕事は馬が主流
田んぼもみんな人手仕事
威張り腐る本家と、耐え忍ぶ分家と
生活格差は子供の目でも明らか
土地を奪われて一家離散する家もあり
いろんな辛酸が散らばっていた。


そういう、健康で文化的でない頃なのに
いまになって思い出されるのは
何故なんだろう?




頂いた御礼メールには、こうありました。

アスパラをほおばった瞬間に
訳もなく涙がほろほろ、ほろほろ
無表情な顔の上をこぼれ落ちました

そして
顔の下半分、あごの周りの深いところから
脳みその真中へ
過去の記憶が滝の逆流のように吹きあがり
不自由で嫌だった北海道の田舎で育った頃の風景が
当時の色や音や匂いとともに
蘇ってきたのです。

まずくて嫌いだったアスパラを
何故か食べたくなって注文しましたが
こんな体験するとは思いもしませんでした。

旬の贅沢とは、こういうことなんですね。
ありがとうございました。




こちらまでもらい泣きして
丁寧に育てて良かったなぁ、と
ほんとうによかったなぁ、と、こころから思いました。

旬を食べて過去がフラッシュバックする

すこしは皆さんのお役に立てたのだろうか?
自信はないけれど、少し安心しました。










3.身の回りの道具たち





















人間とサルの違い

道具と火を使えるかどうか

私はどうだろう
道具を使っているか?
道具に使われているか?
はたまた道具を持てない身分か?

最近は携帯を持ったサルが横溢し
人間のサル化がう進んでおりますが
前職の影響なのかどうか
機械や道具と接するときに無意識に
開発陣はどのような意図でこれを出してきたのだろう
と考えてしまします。

それはつまり
どう使えばこの機械は最大の仕事をしてくれるのか
を知ることになるからです。

そういうユーザーに出会ってこそ
機械は心地よく
最大の仕事を 最高の効率で
最長の寿命とともにこなしてくれます。



例えば イタリア製のマットレス
これが道具?
いえいえ、れっきとした重要な道具です。
農家は体が資本です。
からだの疲れを最短時間で効率良くとるには
睡眠は見逃せない重要項目です。

例えば スクーター
圃場との往復や 近隣の連絡
ちょっとした用足しなどに
最高の効率で働いてくれます。

どれかが一つ不具合を起こしても
その場で仕事が止まってしまいます。
止まってみて初めてわかる順調の有り難さ

パソコンもプリンターも然り


今年に入り 道具や機械類の故障が増えています。
スクーターのマジェスティは
電気系故障で始動できません。
町内のオートバイ屋さんは電気がわからないので
自分でマニュアルを取り寄せて
あちらこちら探りますが
なにせ時間が無い。

故障復帰が遅れてしまい影響拡大中です。



身の回りにある機械
無くなると立ち止まるほど大事な機械が
業務上でどんどん増えています。

更新費用を考えると
維持費で長く使い続ける方が
賢いのだろうけど
やっぱり修理代1万円の連発は堪えますね。


中古品でコスト圧縮するためには
心持が肝要です。










4.メロンは順調









































メロンの定植作業も
5回を終わりました。
今週末に6回目を予定しており
これでメロン畑が全部埋まります。

思えば長かったな。
でも考え見るとあっというま
もうそんなに仕事を繰り返していたんだね。

それぞれの用地で出来上がりは違う。
畑もメロンもみんな違う。

その中から
いいモノをいい時期にお届けしたい。
それが旬の贅沢であり
生産者としての誇りであります。

メロンの定植は全部で9回
そして収穫1回目があと3週間でやってきます。
早いなぁ!
雪を飛ばして作ったハウスで
もうメロンが獲れ始めます。

子育てはアッというま
過ぎてみれば 忙しかったあの時が
人生で一番輝いていた時だった
なんて感じで、メロンたちの成長を見守っています。


それにしても
手間かかりますよね、この作物は。










5.天候不順もなんのその

























天候不順でも
春は来るし 夏も来る

桜は咲いて散っていくし
アスパラも生えて メロンも育つ
かぼちゃだって生涯を始めます。

日は昇り また沈み
翌日には反対からちゃんと出てきてくれる。

止まない雨はないし
暴れる風も 優しい風も
みんなひっくるめて 栽培の一環


忙しいとつい下ばかり向いちゃう
たまには上を見よう
たまには前を向こう
たまには後ろを振り返ろう

でも右や左をきょろきょろ見て
人と比べるのはやめよう

自分達が手間をかけている こども達は
まごうことなく 私たち夫婦の仕事
良くても悪くても
夫婦二人でやり遂げた 仕事


このこども達をお届けして
畑の風景を舌から脳へ膨らませられれば
私たちの仕事は全うできる

旬の贅沢 こころの贅沢
それはモノの良し悪しだけでなく
空気を 音を 匂いを 記憶を
食べて頂く方々に気づいて頂けること

自分達の時間と命を このこども達に置き換えて
でもそれを気付かれることなく
お客様にジワッとしてもらえれば
あすへのやる気がまた漲ります。


ですから・・・
お届けした品にハガキを同封しています。
全箱にハガキを同封しています。
あなたのご感想を書いて送って下さい。
それは
あなたと私たちとの
時間をつなげる1枚のハガキです。
















今月も 有難う御座いました。

「 天候不順 」

いかがでしたか?


今月はあたふたと書いてしまった
月報です。

写真の行間から
畑の雰囲気が伝わっていると良いのですが
いかがでしたか?





来月報告の頃には
メロンのトップバッターがリリースされていることでしょう。
早いですね。

ついこの間
零下10度の中で除雪して
吹雪の中でビニール張りの準備をしたり
雪解け水に苦しんだりしてたのに

地温を気にしながら定植した苗が
もう実を成熟していくなんて。

本当に子育てとそっくりです。

忙しい、きつい
と言っているうちがいいのかも
こども達を送り出してしまえば
虚無感に襲われるほど
じつは気持ちが入っていたと
後になって気付かされます。


 














なんとか月報の連続作成記録を絶やさずに
今月もお届けできました。

これまでの歴史を振り返る良い資料として
さらに綴り続けていきたいと思います。

それではまた来月お会いしましょう。

ありがとうございました。








 


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