'11年 4月   「 天を恨まず 」      



『“階上中学校といえば防災教育”と言われ、
 内外から高く評価され、十分な訓練もしていた私達でした。

 しかし、自然の猛威の前には人間の力はあまりにも無力で、
 私達から大切なものを容赦なく奪っていきました。

 天が与えた試練と言うには惨すぎるものでした。
 辛くて、悔しくて、たまりません。

 しかし、苦境にあっても天を恨まず、
 運命に耐え、助け合って生きていくことが、
 これからの私達の使命です。』

実際の映像はこちら



北海道より 小柴です。

震災から2カ月が過ぎました。
いかがお過ごしですか?

鎮魂とともに悲しみが重く鈍く響いてますが
一方では「このままではいけない」との思いが
日本中を塗り替え始め
ゴールデンウィークなどは
活況を呈した地域もあったようですね。

俯いている時期から 前を見つめる時期へ

仏教の教えはよく出来たもので
7日、14日、49日、と
法要の日が区切られていて
実際に人を亡くしてみると
その間隔がこころの修理の歩調に
合っているような気がします。


冒頭の一説は
宮城県のある中学校の卒業式での答辞です。

答辞の内容もさることながら
読み上げる卒業生代表の
堪え切れぬ悔し涙が
見る者の胸を打ちました。

堪えても堪えて
堪え切れぬ悔しさ、悲しさ、辛さ
それでもなお「天を恨まず」
「運命に耐え」
「助け合って生きていく」
そして全てをひっくるめて
「使命」
と結句する覚悟とは
凄味すら感じる。

同世代のこどもを持つ親として
この映像はあまりに悲しく辛いが
と同時に親として大人として
この子たちの将来に責任持った対応をせねばと
再確認出来た映像でもあります。

日本中で後出しジャンケンのように
互いに罪のなすりあいに勤しむ大人達
なんと情けないことか。

議論の議論倒れを延々としているより
一歩ずつ足場を固めて
前に進みませんか?

いまの自分の仕事まず
一生懸命こなしましょう。

一億総評論家は過去何度も経験した愚です。
一億総当事者として一日一日を大切に使っていきましょう。








雪もあっという間に
無くなって行きました。

消えてしまえば早いものです。

桜が5月13日から咲き始めました。
ちょいと遅かったです。

と言いますのも
5月に入ってから気温が急激に低下
ずーっと4月上旬の気温だったんです。

いまやっと ニセコにも桜が来ました。





この原稿をまとめているのは
5月14日

ここんところ雨が頻繁に降ります。
畑が乾けません。

アスパラ畑の手入れは強引に終わらせました。
強引なので土の状態は良好ではありません。
所定の工程を終わらせたというレベルです。

もっとサラサラの土にしたかったなぁ
もっとシットリと平らな畑にしたかったなぁ
できれば株元の土壌処理を済ませたかったなぁ

それもこれ
湿気てコテコテの土のおかげで
こだわりレベルには到達できませんでした。

しかし冒頭の中学生の言葉に
いまの自分を戒めてます。

天を恨まず 運命に耐え

いまの私たちには
なにほどの苦労があろうものか?
そう考えてます。

愚痴る暇があったら前に進みます。







さて
今月のテーマは
「 天を恨まず 」


中学生から教えられたことですが
いまの大人が忘れかけている
大切なスタンスかもしれません。

日は昇り また沈む
なにがあっても
日はまた昇る

そう考えると 日々の農作業も
お客様との関わりも
とても輝いて見えてくるから不思議です。

肩の力を抜いて 目を緩めてみると
同じ風景でも奥行き深く膨らんで見えてきます。

そんな風景を淡々とお伝えしましょう。












1.冬の足跡、春の足音












トラクターが背負って除雪に活躍した
スノーブロアー

役を終えて圃場の隅でひっそり休んでいます。

昨秋に再塗装してビッカビカにしたこいつも
ひと冬の仕事を終えれば
あちらこちらが擦り切れて
鉄の地肌が剥き出しです。

雪の力ってこれ程凄いんです。
塗装はもとより 鉄板を歪め摺り切らせます。

よく仕事してくれました。
今年の冬も 乗り切れましたよ。












4月といえども 氷が張ります
ガッチガチです。

カチンカチンじゃないですよ。
ガッチガチです。

朝一の圃場は 凍れ上がってます。

それだけに
身が引き締まる気持ちです。

清々しいですよ!
















圃場周りの雑木
6年も経てば おがります。

雑木、雑草の生命力は半端なく
全ての生物を圧倒して
自分だけが生き残ろうとします。

土に食い込み 土手を壊し
水路を崩し 畑に種を撒き散らし
そこらじゅうに子孫を繁栄させようとします。

我が圃場も 手入れの時期
放っておけばエライことになります
いやもう なりつつあります。

3日かかって最低限の仕事はしました。

これからも仕事の合間を見て
あっちでギコギコ こっちでギコギコ
のこぎりを動かし続けます。












雪が解けて 畑の顔も露わになりました。
雪の下で眠っていた設備、排水路などなど
いつものように 現れました。

これからこいつらも手入れして
息を吹き込んでいきます。

いまは冬眠明けでうすら汚れていて
いまいちボケた顔つきですが
周辺を整えてあげると
きりっとした顔に戻ります。




















春は行きつ戻りつ

雨 雨 雨 雨 雨

畑が水浸し
いつまで経っても仕事が出来ない

水が飛んだと思ったところで次の雨
いくらなんでも時間が無い

こうして過ごす時間の長く感じることよ
あとでパニックになるのが分かっていながら
手を出せないもどかしさ

ま、なんとかなるさ
自然とはそういうものさ
どこかで辻褄が合うでしょう
と焦れる気持ちをやり過ごしてます。

皆さんならどうやり過ごしますか?










2.施設準備は続くよ






























我が家のビニールハウスは
全部で8棟
総延長720m

先日やっと全ての準備が終わり
そして全てにメロンが定植されました。


水汲み場

我が家の農産物は
ニセコアンヌプリからの湧水を利用しています。

ニセコの山に降った積年の雪解け水が
山にしみ込んで 長い年月をかけて
すそ野まで到達します。

クマザサの向こうに沢筋があり
湧水を一筋に集めて運んできます。

我が家はそれを貯水池に一旦プール
そしてポンプで吸い上げてから
各ハウスへ分配しています。

美味しい水で育てられた
美味しいメロンたち

日と水と大地のなせる業です。


施設準備のほとんどが
4月にやり終えます。

5月からは
本格稼働します。










3.メロンの人生



























農産物の栽培は
人の一生を見るが如し

種を撒いて
芽を出して
双葉を広げて
鉢上げして
本葉1枚、2枚、3枚
芯を止めて
脇芽を動かす

水、温度、風当たり、病気、虫
色々な条件をクリアして
ハウスの本畑へ降りていきます。

育苗ハウスで育つ期間は
人間に例えれば20歳くらい
まさに意味が合ってます。

暖かいハウスで守られて育ち
本畑へ降りてから世間の風に当たる
冷たい風も吹くし 急激に暑くもなる
水と肥料は自分の力で吸い上げねばいけないし
環境に順応したら 子供を作り育てねば
子供が飛び立てるのに十分な栄養を分け与えたら
自分はもう何も残らず 消えるように萎れ始める

作物を見てると身につまされます。

でもそれでいいと思ってます。
その場を楽しく遊んでも
記憶に残らない時間が増えていくだけ
ならば子供とか社会を通して
自分の存在を形を変えて残せれば
どれほど嬉しいか。

人の一生を見るが如し、です。



















ハウスの本畑へ降りていきます。

播種から約30日後
そしてこれから90日で生涯を終えます。

地下50cm
盛土してるので
実際には地下70cm以上

そこまで根を広げて
水と養分をかき集めて
前半は己の体つくりに
後半は子供の成長に
体力のあらん限りを振り絞って
メロンの樹は生きていくのです。

かわいいです。
愛しいです。
けな気です。

一生懸命根付いて
腕を広げて日を浴びようとする様は
子育てそのものです。

だから条件の悪い時にゴールインした
ちょっと小さく見た目の悪いメロンが
実はとんでもなく旨いもんです。
その苛酷な生涯を付き添ってきた私たちは
一口でジーンときて泣けちゃいます。

「うんまいなぁー!よくがんばったよー」

毎年、毎ロット、全ての株に
そういう感情が湧いてくるものです。
自然とね。



















きちんと根が張っていれば
ちょっとやそっとの天候では根を上げないし
ほんの少しの水や肥料でも反応し
貪欲に吸い上げて身とし肉となす。

まったくもってよく言ったものです

「作物の栽培は 人の一生を見るが如し」










4.海のミネラル堆肥



















「海のミネラル堆肥」

今年も春の新鮮な堆肥を入手しました。
噴火湾沿岸で出る水産廃棄物と
酪農地域で出る家畜糞尿を
木材チップと混ぜ合わせて
2段(高温→中温)発酵させた
プロ仕様の高品質堆肥です。

成分が不安定で発酵も不十分な
中途半端な堆肥は畑を壊します。

我がふあーむが仕入れる
「海のミネラル堆肥」は
ホタテや魚で回収した陸地流亡養分
すなわち大地のミネラルを
牛フンで成分調整して
炭水化物に吸着させた
そのまま肥料として使えるほどの
高エネルギー高ミネラルです。

この堆肥を入れると
土壌のリン酸(細胞分裂に不可欠な養分)が
急速に欠乏します。

なぜ?

土壌養分の中には吸収しやすいもの
すなわち土に吸着していないチッソとかカリ
それに対して
土に吸着して吸収しづらいものがあり
根っ子の成長に特に必要なリン酸は
土ととても仲良しで吸収されづらい代表です。

ところがアルカリ系の養分バランス
すなわちカリ、マグネシウム、カルシウムが
良いバランスで十分にあると
リン酸を土から切り離すんですね。
これは土中でのイオンバランスが良い証拠で
すべての養分がバランス良くなる裏付けなんです。

我が家の畑は
アルカリ養分と酸性養分のバランスが良く
リン酸のような安定成分もドンドン分離されて
作物が吸収しやすくなっています。


堆肥散布は体を酷使する作業ですが
これが我がふあーむの決め手
絶対に手放すわけにはいきません。

今年もタップリ20トンを仕入れました。
アスパラへ、かぼちゃへ
皆さんのお口へ運ばれる旨みと甘みは
この堆肥の醸すアミノ酸と炭水化物です。

どうぞご自身の舌でお確かめ下さい。










5.アスパラが、来たァー!































































今年の一斉萌芽は
5月13日から始まりました。

まだ寒いので
3〜4日かけてじっくりと
所定の長さまで伸びてくると思います。

昨年の立茎は順調に終わり
最後まで緑を維持して
雪とともに黄金色に変色しました。

ぎりぎりまで養分を蓄え続けた立茎なので
今年の貯蔵量は十分じゃないかとみています。

「初芽」
「二番芽」
「名残芽」

いずれも我がふあーむならではの
識別です。

他の産地直販ではここまで
きちんと品質を見分けられていませんよ。

もしくは
見分けられるほどの有意差が生じない
のかもしれません。

私たちも体験したことありますが
普通のアスパラは
これ程自信を持った区別は出来ないと思います。

その理由は
「海のミネラル堆肥」

毎年新鮮な堆肥をたっぷり補充し
プラソイラで溝をきり土を入れ替える
アスパラ畑では一見タブーのその工程を
私たちは堂々とやっています。

毎年新しい根を張ってもらうために
根の裏に空気を入れてやる
新鮮な堆肥を入れてやる
新しい土を入れてやる

「初芽」はもとより
「二番芽」「名残芽」まで
味わいをお伝えできるのは
ささやかな誇りであります。

皆さんにも是非お確かめ頂きたい
そういうアスパラたちです。
















今月も 有難う御座いました。

「 天を恨まず 」

いかがでしたか?


天は 海は 大地は
色々な試練を与えてきます
と同時に数々の恵みも授けてくれます。

人は試練を受けるときだけ
自然界の存在を認識しますが
自分で気がつかない日々の様々なことで
自然の恵みは関与しています。

私たちがそれに気づいているかどうか

漁師の方たちは
あれほど津波に痛めつけられたにもかかわらず
また海に出たい、と言っています。
それは海の恵みを自覚されているからだと思います。

私たち農家も同じです。
塩害で痛めつけられた畑や田んぼ
呆然としながらも
頭の中ではそこから離れるイメージは
全く湧いていないと思います。

人生の早い時期から
天を意識するのは
悲しいけれど 良いことかもしれません。
意識するには辛すぎるきっかけでありましたが。

どうか皆さんも
天を意識してみて下さい。

日々の生活にどれほどの天が関与しているか
確かめてみると
ものすごいことになりますよ。






一つ一つ丁寧に
真心込めてお届けします。

今年のような天候不順の時こそ
我がふあーむのような販売者がお得です。

天候不順の時は作物もばらつきが大きくなります。
また大手の販売店では
多様な生産者の品を混ぜてお届けするのも
日常茶飯であります。

しかし我がふあーむの場合は
混ぜようにも混ぜる相手がいないので不可能
しかもクレーム対応も万全
お気に召さなかったら代替品をお送りします。

今年のような天気の場合
自信ありです。


 














これから1年で最も忙しい時期
からだに気をつけて頑張ります。

皆さんも梅雨への走りを
どうぞお大事にお過ごしください。

それではまた来月お会いしましょう。

ありがとうございました。








 


今月号を読まれていかがでしたか?
楽しんで頂けたら「いいね!」ボタンで投票ください。
また読まれた感想もこちらへどうぞ!




発行    編集局 制作責任 小柴孝志
----------------------------------------------------------------
☆ご意見・ご感想は、こちらまで!
----------------------------------------------------------------
★メールアドレスの変更や配信停止、各種問い合わせは、小柴ふあーむまでご一報ください。

(C) Copyright 2004 「北海道 小柴ふあーむ」. All rights reserved.
全文、または一部の記事の無断転載および再配布を禁じます。