'09年 3月   「旅立ち、そして」      

「 あっちゅうま 三人の子供 いま一人 」

北海道より 小柴です。
桜前線 いま福島あたりとのこと
早い北上のようですね。
こちら北海道も
雪解けが猛烈な勢いで進んでます。

まもなく
畑の地肌が 現われます。
積雪 残り30cm
といったところでしょうか?
消え行く雪に
名残惜しさを感じる
いつも春の風物です。





「旅立ち」
複雑な心境を言い表す
良い言葉ですね。
寂寥 と 昂揚 と 不安
色々な思いが綯い交ぜになって
胸の中がパレット上の絵の具のように
混ざりそうで混ざらない
瞬間で心境が俯瞰できるような
明確な混濁です。

あえて言えば
ウルトラQ のオープニングシーン
みたいな感じ…





僻地の小学校
今年の卒業式は
良かったですねぇ

先生方の腕を振るった企画が
父兄のみならず
在校生や教職員も巻き込んで
感動させておりました。

規制の無い発想って
大切ですよね。
自分が感動したい気持ちが
周りの人に伝わっていくから。
遠慮なく 発案者の気持ちが
伝播していくから。

企画の中には
卒業生の幼少時の写真を
ダイジェストで投影して
しかも サプライズありで
隠し画像も盛り込んで
式次第を一生懸命練習してきた在校生すら
サプライズに動揺してざわめき
御仕着せの画一的な雰囲気と違った
ちょっとフランクな 素の表情の子供たちが
セレモニーを造り上げていました。

自由な発想をもつ大人
それが子供に与える影響は
計り知れません。



さて 今月のテーマ
「旅立ち、そして」

我が家も この春は
卒業式と入学式 2回づつ
ありました。

小学校とはこれで縁遠くなりました。
転勤される教員には
PTA活動を通じて気持ちが移り
「ありがとう、そして元気でね」
と互いに声を掛けました。

また遠征する次男とは
これでもう一緒に暮らせません。
あっという間の15年でした。
これからも家族ですが
一つ屋根の下で許しあう間柄とは
次第に離れていくでしょう。

でもそんなことばかりも言ってられず
わたし達は農家ですから
今年の営農をガンガン始めています。
言い換えれば
今年の命たちを育む営み
です。
新しい命に息を吹き込む作業
それが いま真っ盛りです。

みんな 明日に向かって
歩いていく 春
今月はそんな風景をお伝えします。





1.冬の旅立ち





猛吹雪
3月の嵐
寒気と暖気が入り混じるこの時期
低気圧が猛烈に発達しやすく
一度荒れると
こうなります。



「猛烈に発達した低気圧の影響で…」
天気予報でよく聞くフレーズ
で・す・がぁ
「猛烈」という言葉に
なぜかこころが反応します。

「モウレツ あ太郎」
「Oh! モーレツ」
「モウレツサラリーマン」

「猛烈」という言葉には
昭和の高度成長期の記憶が
付随します。
KYな一生懸命さに辟易しながらも
どこか憎めない語韻を含んでいます。
小川ローザがどうだとか
丸善石油がどうだとか
そういうことは別にして、です。

ひるがえって
天下の気象庁
ハイレベルな公務員の方々が
その予報の表現に
「モウレツ」
を使うなんざぁ
微妙なミスマッチというか
庁内会議で真面目な顔をして
「この場合は モウレツ と表現しましょう」
とか
「モウレツ の定義は 風速○m以上とし」
とか
「君の言うモウレツは 気象庁のモウレツとは違う」
とか とか とか

とても真剣な顔で 「モウレツ」について
猛烈に議論する機会もあるのかと
想像しています。

なお気象庁職員になるには
気象大学校を卒業せねばならず
この学校は
防衛大、海上保安大、航空保安大
などと並んで
けっこう高難易度です。





あらら
一夜明けると こうなってました。

風向旗
毎度のことですが
風に弱いのです。
今回は旗竿の取付けが
逝っちゃいました。
旗自体も
擦り切れが進んでます。




農道を除雪しなおします。
この画像で
向かって右から風が吹くとき
それが順風
つまり 西風です。
猛烈な吹雪の後は
右側から伸びた雪庇が
ついに農道を横断し
吹溜りとなって塞ぎます。

この時期
除雪やり直しが
2〜3回は避けられません。



我が代表
ハウスバンドを飛ばしてます。

これが
見てると笑えるのです。
(失礼)
いつも思うのでうが
本人が一生懸命であればあるほど
その動きがコミカルになり
呆れを通り越して
諦め、いや 哀れみ、
いやいや
トホホになってきます。

がんばってくれよ、代表
我がふあーむの明日は
君の右腕に
(まさに右腕1本の投擲作業)
掛かっているのだよ。





3月の日差しは
1年でもっとも強い。
ハウスにビニールが掛かったとたん
それこそ
猛烈な勢いで地温が上がり始める。
まずは
熱をもたせて
水分を活性化させないとね。



こうやって
湯気が上がっているうちは
地温は未だ上がらない。
水分の状態変化に
エネルギーが使われ続けるからです。
でも それは
状態変化終了後の
急速な温度上昇をも意味しており
深部からの水分も
表面でドンドン吸い上げて蒸散させます。



ハウスの向こうが見えなくなるほど
湯気が立ち込めます。
そして
ハウス内が飽和に近付きつつある時
管理は一転して
空気をドンドン流し込み始めます。
新しい乾燥空気に対して
水分を移動させる
簡単に言えば
乾かす
それだけのことですが
熱力学の身近な実験場として
興味がそそられるのです。



冬は
3月に入ると
寒暖を繰り返しながら
旅立っていきます。
3月になれば
朝の最低気温が-5℃くらいが
ちょうどいい。
暑くもなく 寒くもなく
カラッとして スカッとして
とても気持ちが良い
一日となるからです。

だから この時期の寒暖差は
とても好きです。
日差しさえあれば
気温は低めの方が気持ちいい。
これは
長い冬を経験できる
北海道ならではの季節感
じゃないでしょうか?


大好きですねぇ!









2.小学校の旅立ち




北海道の校章には
六稜を模したものが
とても多いです。
それは
雪の結晶から来てるのでしょう。
キレイですよ
掌に落ちた雪の結晶は。

さて我が息子がお世話になった
昆布小学校も
卒業式を迎えました。



玄関の風除室
クロカン用のスキー板が
ズラリ並びます。
北海道の小学校ならではの光景
冬は閉じこもりがちで
体力が低下します。
児童もけっこう肥満傾向
もっと消耗せねばなりません。

この板を履いて
毎日、校庭の特設コースで
走り続けるのです。



学生服に着られている状態
こんな光景も
もう3度目
しかも、これが最後

好きな言葉は
「臥薪嘗胆」
だそうですが
苦いものは嫌いと
言うております。
それじゃあ、嘗胆できませんね。



このサイズのセレモニーにも
だいぶ馴染みました。
最初の頃は 寂しく感じましたが
いまでは 子供たちとの距離感が近いのが
気に入ってます。



お母さんたち
珠のように生まれてきたのが
つい昨日のようで
式典中にそんなことを
ちょっとでも思い出すと
途端にウルウルしてしまう
そして 止まらなくなる。

やばいんですよ、ホント
父親ですら そうですから



先生たち
小規模校の良いところ
それは
先生たちが児童一人ずつとの
個人的つながりがあるということ。

だから
卒業生を真剣にのぞき見る
または ウルウルしてしまう
私の確認によれば
校長、教頭、担任
全て男の先生ですが
みなさんウルウルしておられ
一生懸命 はぐらかしておりました。

校長が泣いている卒業式
どうでしょう、いいでしょ?





教室に戻り 担任から
一人ずつ言葉を掛けられました。

全員終わったあとで
間をおいて
「さぁ、これでお別れです」
と言おうとしたとき
感極まって言い切れませんでした。
厳しい先生ほど
別れ際に弱い
それは
会社などでも同じでした。

私も異動、転勤、転職、退職と
数多の別れを経験しましたが
現場で厳しかった人ほど
親身に別れを惜しんでくれました。
そして いま
子育てをしながら思います。

「可愛くない子は叱れない」



小学校の卒業証書の意味とは何か?
私なりの解釈ですが
「サルから人間になってもいいよ」
ということかな?



インドの狼少年の事例もあるように
ヒトとして生まれても
育てられ方によって
サルで終わったり 人間になれたり
全く異なる人格になります。
「携帯をもったサル」
に代表されるように
きちんと教えられずにいい加減に育ったヒトは
高度な知能を持ったサルで終わり
人間としてのプライドを意識せず
何気なく無為に生きていきます。

小学校でキチンと教えられ
キチンと叱られた子供たちは
中学校からの人間としてのレベルアップに
対応できるでしょう。
さもなくば
サルのままでレベルアップについて行けず
サルのままで 終わります。

小学校の卒業証書は
「人間に成れそうだよ」
という免状だと感じます。



大人の皆さんも
サル と ヒト と 人間 の
相違点を考えて生きてみると
人間としてのプライドを意識させられます。
若輩のわたし達夫婦も
頑張りたいところです。









3.中学生の旅立ち



「おい、少しは泣いてみろよ」
と言われて
三男がポーズ



「旅立つ本人はどうしたんだよ」
と言われて
次男がポーズ



畑を離れられない
父を残して
次男は母に連れられ
旅立ちました。



3月17日
高校の合格通知を受取り
希望通りに
北の港町へ行くことが
決まりました。

長男に続いて
次男も旅立ちます。
15年の付き合い
あっという間でした。
これからはもう
あれこれ指導できないので
本人の力量でまとまって行くしかありません。





届きました、入学案内が。
次男は公立高校なので
手続き関係は
実際に学校へ赴くことが求められ
ちょっと面倒です。

私立高校の顧客サービスを
実感する瞬間です。



雑然とした
でも 懐かしさを憶える
北海道の港町です。

南の港町
北の港町
そのいずれもが
日米通商修交条約や
日露和親条約と
直接関係する歴史があります。

明治維新を体感できる
シックな街です。



教科書、ジャージ、運動靴
どれもが 指定店で購入
期日も決まっていて
店頭直接買いのみ
しかも各品ごと指定店がバラバラ
地理不案内の街で
車で移動しながら
右往左往
「入れてやる」態度がハッキリ映る
公立高校の姿勢
さすがです。

でも収入で授業料免除となるので
外せない重要ポイントなのです



本人は
寂しさより 期待感100%
よしよし
それが若さというやつさ
家を後にする時に
不安とか寂寥なんか
全くなかったもんね、私も。
自立の第一歩に
ワクワクしていました。





いちご
静岡から直送
ウマイですよぉ!

毎年この時期に
我が代表の実家から
旬のいちごが
たっぷり届きます。
我が次男
静岡仕込みの  筋金入りの
イチゴ好き!



幾度も眺めた
いちごを頬張る姿
口を舌なめずりして
「ごちそうさま」
と言っていた幼稚園の頃
下宿住いになれば
もう 滅多に食べられないよね。

うまいか?



兄弟それぞれ
自分の道を歩み始めた。

The Point of No Return
もう後戻りできない
納得いくまで やってご覧なさい
辛くなれば いつでも休みにおいで
力が湧いたら また飛んでいきな。

父と母は
これからずーっと
死ぬまで 畑にいるから。
その光景を知っていてくれるだけで
父と母は 頑張れるよ。
お互いに 自分の選んだ道で
ベストを尽くそうな。










4.初級者からの旅立ち




今シーズンも
終わりました。
三男にとっては
稔りある冬でした。



タイムもジワジワ縮んできて
そしてなにより
板の上でのポジションが
随分と良くなった。

この三男は
性格的には あまりアグレッシブじゃない。
でも根気と緻密さは
けっこうなものを持っている。
自分の滑りを自己分析できる
頭を持っている。
一見ロボットライクなフォームだけど
要所はそれぞれ押えてるので
あとは身のこなし
自然に前に出て行ければ
次が見えてくると思う。



つまり 彼はいま
そういうレベルなのです。
初級者から卒業して
どん尻ながらも中盤グループに
顔をのぞかせ始めたようです。



多いときは10数人で
300km以上の彼方まで
遠征をかける。
費用もバカになりません。
我が家は必要最小限に絞りますが
それでも
6〜7戦は出場します。

トップレベルの滑りを生で見たとき
彼の中ではイメージがブレイクするのか
帰着後の練習では
一皮剥けることがあります。
これが
「経験を積んで強くなる」
ということみたいです。





彼が小学校卒業に臨んで書いた
両親、つまり私達への
感謝の手紙。

スキー大会の経費
練習の送り迎え
給食費の支払い
etc.
妙にリアルな感謝でした。

私達もちょっと反省ですね。
モノや 機会を大切にすること
自然発生でそれらは起こり得ないこと
なにかの犠牲の上に成り立つこと
等などを
自覚を促すつもりで言ったことが
行き過ぎちゃった部分もあるようです。

あまりガメ付くならずに
でも代償は自覚し
スクスクと勝負強くなって欲しい
それは大人になっても
きっと役立つ感覚だから。

初級者からの旅立ち
それは
一試合を大切にする自覚
のような気がします。









4.新規就農者からの旅立ち




天候にも恵まれ
順調に施設準備が進んでいます。

ビニール掛けは
早朝に完遂します。
日の出直後から
午前9時頃まで
大気が対流し始めないうちが
勝負です。

仮止めまでだったら
2棟 2時間で
出来るようになりました。
腕を上げたのかな?



ビニール掛けたハウス内
雪が解けたあとも
土の乾燥を進めます。
刃を入れるタイミングを
慎重に図ります。

乾き不足だと ゴロゴロ
乾き過ぎだと シャリシャリ
機械が入れるぎりぎりの湿り具合なら
シットリ フカフカ
空気も水も適度に混ざり
いかにも根が気持ち良さそう
と思える土となります。



皆さんがメロンを最も欲しがる時期
それは 新旧のお盆
7月10日までに頭出しが出来れば
喜ばれます。

お供え物に
御中元に
お土産に



ふるさとで 久しぶりに会う家族と
一緒に食べる芳醇な贅沢
それに間に合うためには
いま もう育て始めるのです。



この時期に この準備
しかも今年は 効率が良い
体の疲労度の割りに 進捗が早い

腕を上げたのかな?



なんの仕事も一緒ですが
いまの仕事は
過去の仕事の必然だし
将来の仕事は
いまの仕事の必然です。

何年も掛けた仕込みがあって
いまのレベルが成立ちます。
今年で5シーズン目
過去4年の仕込みの結果が
今年の進捗に現われてます。

今年はご近所の先輩にも
引けを取ってません。
その先輩から言われました。

「もう新規とは言わせねぇぞ」

色々な意味が含まれていて
ちょっと怖い一言でした。














今月も 有難う御座いました。

「旅立ち、そして」
如何でしたか?

日常の生活も
様々なことからの卒業
その連続ですね。
3〜4月にたまたま
目立つものが集中しているだけかも。

毎朝の 「行ってきまぁす!」
これも日常の 小さな旅立ち

連休末に 「じゃあ、またね」
と言って遠征先に戻る長男の後ろ姿
これも繰り返される 旅立ち
彼の戦場へ戻る緊張感が
背中から伝わってきます。
Uターンラッシュ時の
お父さんの雰囲気と一緒です。



こういう時
親は見送ってはいけません。
「おうっ、じゃぁな」
と言って プイッと背を向けます。
でなければ
本人の気持ちを邪魔しますから。

自分の経験で言えますが
家を後にする子供にとって
親にすがられるのが
もっとも困ります。
子供の巣立ちを
邪魔しちゃいけません。
これ、親の義務です。

長男も もう高3
早い! 本当に早い!
シルバーストンやドニントンのサーキットで
うんちオムツを交換してたのが
もう 高3
人生あっという間ですね。

だから
いまを大切に
噛み締めて





昨日 アスパラ畑が
露出してきました。
雪解けは順調です。

この調子だと
アスパラのお届けは
GW明けから 期待出来そうです。
アスパラファンの皆さま
もう受付けてますので
ご注文ドシドシお寄せください。
お待ちしています。







そして 今年の新企画



スリーシーズンセットでお申込みいただくと
最良のものを 最適な時期に
自動的にお届けします。
忙しくて購入時期を逃してしまう方には
もってこいの企画と思います。
ぜひ お試しください。



アスパラ畑の露出で いよいよ忙しくなります。
メロンハウスも続々と定植が進んでます。
レベルアップしている小柴ふあーむに
どうぞご期待ください。

皆さんの笑顔の素になれることを
こころより望んでおります。

それでは また お会いしましょう
ありがとうございました。








 
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