小柴家の風景
'07年11月 「未満足ナリ」

「 降り積もる 己が未熟に 初雪が 」


北海道より 小柴です。
クリスマスへの序曲を感じています。

今年の営農も終わりました。
経営結果も概要が出てきました。
それを見て
溜息も出ています。
「今年こそは!」
と挑んだ変曲点の一年
でも結果は満足できないもの。

「前向きに!」
と心に繰り返しながらも
いささか落胆を隠せません。



収支トントンが今年の目標
でもご存知のように
メロンの後半戦に品質低下をだし
しかもその時期が
取引値も固かっただけに
経営結果を見て悔しさが
込み上げて来るのです。

先輩諸氏からよく言われます。
「農家は毎年が一年生」
でもその言葉に反発を覚える近頃
なぜって
なんか努力の足りないことの
言い訳に聞こえるから。
なにか得体の知れないものに
責任転嫁しているように聞こえるから。
謙虚というベールを被った
言い逃れを暗にしているような
そんな言いくるめを感じるから。



我が 小柴ふあーむ の感じ方
それは
「努力が足りなかった」
たぶん経験も含めたいところだが
それは真面目にやってれば
勝手に付いてくるもの。
やはり 努力が足りないから
結果が出せなかった。

たぶん新規就農の中では
けっこう堅実な事業展開をしていると思う
だからいまの自分達に不満なわけではない
いまの状況に不幸なわけでもない
やりがいや歓びは ひとしおだし
止めようなんて思うどころか
ドンドン深みにはまっている
でも
満足なんて とてもとても…
だから
なんとか表現しようとすれば
「未満足」 かな?
つまり
まだまだ、なんです。



ということで
今月のテーマは
「未満足ナリ」

シーズンを終えた満足感
皆さんに可愛がって頂いた感動
そして自らの未熟による悔しさ
その全てを包括する言葉が
「未満足」
この複雑な気持ちを整理しながら
今月報告を進めます。

どうぞお付合いのほどを





1.土と株




もう最後と思う晴天の日
残りのハウス3棟を
バタバタと片付けました。



ハウスを片付けるには
晴れてないといけません。
ビニールが乾いていること
地面が乾いていること
大切なビニールをきれいに畳むため
天候はとても大切です。



ビニールを片付けて
堆肥を撒いて
ロータリー掛けて
ハウスパイプを取外し
ビニールバンドをまとめて



ハウスの片付け
一丁あがり!



ことしも イイ土になったね
昨年に続いて
ことしは さらにきれいな
土が出来てきた



この ふわふわの土
いのちの土
かわいくて かわいくて
しかたがない





山の色が抜ける頃
アスパラ畑も
色が抜ける







紅葉もいいけれど
その最後に 枯れる直前に
一瞬だけ山が
かがやく瞬間がある
透き通るように
ふわっとかがやく
瞬間がある



アスパラ畑のかがやき
ときを同じく 山と一緒に
アスパラ畑が
かがやく時がある



透き通る黄金色
病気や虫から守り通した
努力の結果が
透き通る黄金色



樹がシッカリしたままで
色が抜けていくのは
誇っていいこと
蓄えられた樹の養分が
満を辞して 根に流れ込む
枯れると茶色だが
転流すると黄金色
転流
これが欲しくて
夏のあいだも守り抜く



茎葉を守った 支柱やテープ
転流が済んだところで
一気に片付け
やっぱり晴れた日が都合がイイ
畑が傷まないからね



きれいに剪定し
しっかり支えて
キッチリ守りぬいた
こんなアスパラ畑は
そんなに無いよ
先輩農家から嫉妬されるほどの
出来上がり
中屋のじいちゃんが教えてくれた
アスパラへの愛情



中屋のじいちゃん
いつか 褒めてくれるかな



土と株
農家にとって これが
最大の財産
この価値を分からぬうちは
農業を知った事にはならぬ

土と株
かわいくて かわいくて
ほんとうに たまらなく
しかたがない







2.機械、不思議な魅力



その本質は なんたるものか
摩訶不思議な オーラを発し
しばらく呆然と魅入ってしまう



子供の頃を思い出す
あちらこちらの工事現場に行って
親父方にしこたま叱られて
それでも離れないで
ジーっと魅入っていたもの
機械、とくにエンジンルーム



機械の使命 それは
「人の役に立つこと」
そのために
小さく 軽く 丈夫で 長持ち
凝った設計は罪作り
必ずどこかで破綻を来す
部品点数は少ないに限る
作動原理は単純に限る
それは数式の美しさに似ている
単純な数式ほど
その奥が ふかい



去年のオイルは 10W−30
今年のオイルは 5W−30
冬期間の除雪を考えて
マルチグレードの低温寄り
これで少しでも
冬のバッテリーを救えれば
少々の経費も高くはない



このギアオイルが注がれるのは
このギアケース



ロータリーハローの
ギアケース



こんなオイルが排出される
低速高負荷の
なかなか厳しい
使用環境





そしてベアリングの
グリスアップ
とっても大事な
グリスアップ



スノーブロア
(除雪ロータリー)
気持ばかりの塗装も鮮やか
今年もまたよろしくお願いします
去年よりもまた上手にやるからね



フロントローダーも取外し
トラクターは 身軽になる
機械の脱着も
ずいぶんと慣れた
この技能も うれしい財産



ひっそりと
雪を待つ準備が整った
作業全般の
段取りが良くなっている
密かにうれしい 瞬間だった







3.節目

まさに 季節の変わり目



北海道の凄いところ
それは
節目がひじょうにハッキリしてる
その日を境に
夏から秋
秋から冬
ハッキリしてる



この日 朝から
あたりは一気に
水墨画の世界へ





前兆は数日前から
霰(あられ)が時折りぱらついて
「もうじきだぞ」
と告げられていた



静かなんだよね
畑が
いのちの気配が
しないんだよね
じっと眠りを待つように
畑が眼をつぶってる



あっ、きたっ…
いま、呑み込まれるんだ



呑込まれてく













フルカラーから
モノカラーの世界へ
あたりの色が
吸取られていきます



いえの周りも
モノカラーへ
色がドンドン 抜かれていく







雪が降るとき
「バサバサ」
と音がします。
耳には聞こえません
こころに響くんです
「バサバサ」
って響いてきて
「覚悟はいいかい?」
って尋ねてくるんです。



ほら、聞こえないかい?







4.打上げ


頑張ったのは 家族みんな
みんなの気持がつながっていたから
今年の我がふあーむも
やってこれました。



恒例の 回転寿司

今年の収穫祭は
函館にて 決行!
長男が函館に居るのですが
我がふあーむの成功に
こころを砕いているのは
離れていても同じです。
わたし達は長男の学生生活に
幸多かれと願い
長男は我がふあーむの収穫が
豊作であれと気遣う。
小柴ふあーむ という
経営体を介して
家族みんなのベクトルが
揃っている。

あんちゃん抜きの収穫祭は
考えられません。



そんなみんなと食べられる時間
いましかないです。
少々の出費はあっても
みんなで確かめ合う
毎年の区切り。
こども達も ホッとする
収穫祭です。



食べよう!
いっぱい食べよう!



皿がどんどん
積み重なっていく



食べよう
まだ食べられる
よね



あんちゃん 骨折!
ラグビーの練習中に
ラックの下敷きで
右手骨折!
函館に来た本当の理由は
この怪我の見舞いですが
顔を見て ほっとほっとほっと
よかったよかった

でも 寿しは食う!



食べられるかな?
もうお腹、いっぱいじゃない?
いっぱいだよ、ね…



ほっとひと安心
(こっちの話だが)
なんとか予算内に収まってくれた
(なんか食べた気がしない)



うれしいひととき
みんな気持ちが通っているのを
確かめられた瞬間でした。

やっぱり みんなで食べる御馳走は
おいしいや!



「キングメルティー会」
研修会という名の
慰労会、かな?



講演会
ガラガラです。



資材展示会
そこそこです。



交流会 (宴会)
いっぱいです。



開宴直前
火入れ待ちです。



函館出身
キングレコードの
… 誰だったっけ



こうなったら
もう終宴



ほんとうは
こういう宴会は嫌いです。
疲れます。
いくら飲んでも
酔えません。
いや、変な酔い方をします。

なんかこう
嘘の匂いが満ちてるというか
ずるい空気が流れてるというか
色んな人の都合が入り乱れ
ヨイショされたり してあげたり
だめなんだよね
こういう場って。

でもね
JAの検査員と初めて
柔らかい雰囲気で話したら
けっこう褒めてくれた。
「いいか、真面目に作れよ」
色んな農家の 色んな作物を
検査し全国へ営業する
JA検査員は
各農家の代わりに
販売の最前線に立つ仕事。
その人から
「真剣に作ってるのは モノ見りゃ分かる」
と呟かれ
「うん、来年こそは」
と気を取り直して
帰ってきました。

でもやっぱ
群れるのは嫌いだな。
我が代表と 二人で
納得いく空間で
コクッ コクッ と
口を湿らせられれば
それが最高。







5.モノカラー


太陽が低く動く
コントラストが強く
陰影の境で
冬入りを感じる



雪に覆われ
彩りが失せゆく世界




いつも厄介者扱い
でも北海道の農業は
雪のおかげで成立つ



冬のあいだ
否応なく畑は休まる
雪下で土が力を取り戻す




雪解け水が畑を洗い
山が水を与え続ける
健康でおいしい
北海道の旬は
雪のお陰で為し得る賜物



畑よ 休め
土よ 休め
株よ 休め



来年3月に
満を持してほとばしるまで
ゆっくり ゆっくり
熟成してください



透き通る黄金色も
転流し切った いまはもう
抜け殻のように
茶色にかすんで
じきに埋もれていくのです










今月もありがとうございました。

「未満足ナリ」
満足していることや
幸せを実感することは
ご覧のように山ほどあり
これで充たされていないと言えば
なんとも贅沢なと叱られそう

でも結果が出ていない
出せていない
職業人である以上
自分の目指すステージで
自分が納得いく方法で
人を幸せにして
自分も幸せになり
それで代金をいただけて
生活をし 子供を育てる
これが一通り完結できて
やっと満足と言い切れる

たくさんのお客様から
大切な対価を頂きながら
まだ再生産に不十分なのは
ひとえにわたし達の力不足
だから
「来年こそは!」
と気持ちを引き締めるのです。



農家の再生産って
なんだろう?

作物だけの再生産?
それならこんなに
情熱を傾けることはない。
農家の再生産とは
それを食す人の笑顔とこころ
それを生み出す畑や土や株
作り手の笑顔とこころ
そして一連のつながりを見守る
家族の笑顔をこころ

作物が媒介して
この全てが連鎖することが
農家の再生産だと
固く信じています。
我がふあーむの使命は
それを具現化することです。
とても崇高な この再生産を
そう簡単に達成しちゃ
お客様も商品を受取ったときに
悦びを感じられないでしょう。



だから
未満足と位置付けて
なにがなんでも
崇高な再生産を達成するのです。
そのために
「来年こそは」
が 幾度も口を吐くのです。



今年も冬の副業が始まりました。
収穫祭の余韻を味わいながら
悔しさと発奮を内に秘め
我がふあーむの今期を
終えています。

どうぞ皆さん よいお年を!
次回報告は もう新年になりますね。
今年一年の御愛顧、御注目に
心より御礼申し上げます。
本当にありがとうございました。
また来年も
変わらぬ御愛顧をいただけるよう
御期待に応えられるよう
我が代表ともども
全力で取組んでまいります。
どうぞ宜しくお願い申し上げます。

それでは 年明けに 会いましょう!







 
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