小柴家の風景
'07年 3月 「進化 認む」

「 口結び 言わぬが優る 親ごころ 」


北海道より 小柴です。
4月ですね
桜、満開でしょうか?

今月の川柳、よかですか?
先日TVを観ていたおり
ふわぁーっと浮かんできた
一句です。
親子の対話って
言葉少ない方が良い時って
ありますよね。
言葉を選び 言葉少なに
言葉以上に 脳裏を伝える
大切な 間がある。
そう、その典型例が
倉本聰のドラマ。
いささか作り過ぎのきらいはあるものの
あの間は 年を取ると
分かってきました。



子供と 付かず離れず
適度な間隔を保ち
邪魔もしないし 放任もしない
ただし責任を背負い込む覚悟だけは
きちんと出来ている。
恥ずかしながら
そんな事も
分かってきました。



今月のテーマは
「進化 認む」

3月は農作業が始まり
子供の旅立ちがあり
営農技術や親子関係で
みんなの進化を感じました。
わたし達の嬉しいことどもを
多彩な写真たちで
点描してみましょう。

どうぞご覧になって下さい。







1.耕起まで




3月1日、今年もスタートしました。
除雪から始まります。
昨冬に較べると
別世界のように楽!



病院奉公が明け
たと思ったら インフルエンザ
体重減少で喜ぶ 我が代表
ヘロヘロながら
3月17日から 参戦!



ハウス周囲の細かい作業は
我が代表の仕事
3年目ながら
てきぱきこなします。



で、出来たハウス2棟
あっと言う間です。
一人より 二人です。

そしてなにより
ご近所の同業者「オフィス日置」
この御夫妻の協力なくして
一気の進捗はあり得なかった
いつも見守ってくれる
ありがたい先輩です。





雪解けが 一気に進む様
気分も軽くなります







ビニールを掛けて 約1週間
ハウス内は雪も消え
土の水気が 失せていきます。
表面にひび割れが出てきたら
いよいよ 耕起です。





グサリッ!
ズブリッ!

土に刺さる ナイフのお化け
憶えてますか?
これは、サブソイラー
地盤を壊す機械です。
が…
今年は一工夫
プラソイラー的機能を求め
追従ウィングの角度と
挿入深度を独自に調節し
土がより多く破壊されるよう
試しました。



こんな感じで
起されて



こんな感じで
土が壊れていき



こんな感じで
ほぐしていきます。



こんな感じの
土の色が



こんな感じまで
乾いてきます



地中50cmまで届く
大きな破壊
その断面それぞれに
空気が入り込み
底から乾燥させていきます。

この工程が
とっても大事!
土はいじめちゃいけません。
どの作業も
一発勝負で決める。
乾燥のコツを
ちょっと掴んだかも…ネ







2.定植まで



なんだ なんだ !?
この真っ白な状態は
一体 なんだ !?



肥料振り
耕起して 乾いたら
肥料を撒くのです。
我が家は 全て手撒き

機械より 均一に
機械より 柔軟に
各肥料の特性に合せ
撒く量も 撒く場所も
思い通りに やるのです。

大変です。
でも これが必要な作業
我がふあーむ、ではね。



そして 砕土・整地
ロータリーハローの設定や
行き帰りの通り道
そして 速度や深さ
密度の濃い経験から
たくさんの工夫を試みました。



デコボコなく 均質で
厚くて 気相率の高い
よい土の準備が出来ました。



団粒構造と言うのですが
仁丹の粒のように
土がコロコロに丸まります。

「鼻くそを指先で丸めた感じ」
のような粒々がもっさりと集まって
ぎゅっと握って固まって
掌で握って簡単にほぐれて
でもまだ鼻くそ状態

これが良い土の状態
たった3年と言う無かれ
毎年条件が変化していきます。



我が代表 巻尺持って
動き回る
なんと 測量しているのです。
基準点に原点を決め
各所の距離を確かめてから
目標点を割り出し
標識を打込む



素晴らしいじゃないですか!
誤差を抑えるテクニックも
自然と身に付いてきて
いまでは
夫が機械準備をしている間に
代表が目標を設定してくれます。



これは ロータリーマルチャー
土をかき寄せながら
ベッドを盛り上げ
ビニールを被せる
高価な機械
「オフィス日置」
貸してくれて 大助かり!





幅2m40cmの土を
真ん中150cmにかき寄せて
高さ20cmに盛上げる
被覆したビニールを
二人で土寄せして
仮抑えしていく



「ドライバーは 楽そうだね」
確かにそうかな?
でも頭と尻が勝手にずれる
トラクターをなだめつつ
走行ラインをきっちりキープして
しかも後ろの作業を確認する
なかなかどうして
頭脳と集中と判断に
忙しいんですよ
いや ほんと



青く見えるのは
潅水チューブ
このチューブへ高圧水を送り
メロンたちへ水遣りします。
その元圧力は 200kPa
45m 67株を 40秒で
潤します。





マルチ 完成!
通路整地も 完了!
ここまでくれば あと一息



通路には 防草マルチ
そして
ベッドには 2重トンネル
見えますか?
都合3重の囲いです。



ハウスが お家なら
中トンネルは 掛け布団
そして内トンネルは 毛布
そんなイメージです。



こうやって これから2週間
ベッドを温め続けます。
深さ15cmで 18℃以上
出来れば 20℃
これが目標です。

当初4℃からの スタートです。







3.旅立ち



我が家の長男
中学を修了しました。



イギリス ウォーリック州ラグビー町から
静岡県浜松市から天竜市へ
北海道磯谷郡蘭越町へ



思えば彼の軌跡は
修了のたびに土地を変えて
社会を超えてきた



彼にしてみれば
半ば強制的に移動させられてきた



その時々に
良いことも有ったし
悪いことにも遭った
環境を変え 異質に飛び込む
その繰り返しだった



が、しかし
彼はめげる素振りも見せず
いつも前向きだったし
恨みを言うことも
憎しみを溜めることも
無かった。



いつも周りを信用しようとして来た
悲しい目に遭っても
信用することを諦めなかった
いつしか裏切りも減ってきて
信用が信用を連れてきた



彼の凄さは そういうところ
信じることの大切さを
信じて疑わないこと



そして彼は また
次なる地へ 旅立つ





彼が行きたかった街
その風情に魅入ってしまった



親元を離れ
自分を試しに行きたい
そう考えて選んだ街



学校は寮完備
しかも大部屋
自ら望んだ切磋琢磨は
30人部屋から始まる



荷物と父兄が入り乱れ
誰が入寮するのか
誰が寝泊りするのか
各家庭の事情が
顕著に表れる







少しだけ助けてもらいながら
彼の本当の自立は 始まった



案内役は 先輩寮生たち
まだ2年生
1年前に同じ不安を抱えてた
まだ2年生
いまの逞しさは 見ての通り



廊下で待機し
入寮準備に目を配り
機転を利かし
奉仕する
その間 おとなは
一切感知せず
自主自律 そのまま


みんな遠くから やって来た
本人も 保護者も
それぞれの思いを抱えて
やって来た。
北海道の教育事情って
大正や昭和と
変わってない。
みんな 色々な思いで
やって来る。





寮といえば この名札
白は在寮 赤は不在
自分の名札を 初めてめくる時
その時が一番 入寮を実感する時
…だったなぁ

そして「金銭出納帳」
これを買って 一行目の仕訳が
「出納帳購入 200円」
これも定番の光景



君はここで頑張ってくれ
わたし達は畑で頑張るよ
互いの人生 思いっきり
色んな目に遭って 乗り越えて
目前から目を逸らさず 逃げ出さず
キッチリ噛締めて
味わっていこうじゃないか







4.有機




この光景を観て
皆さんは如何感じられますか?
「美味しくなりそう!」
かな?
「得体が知れない」
ですか?

我が代表 この作業中は
一生懸命なんですよ
作業着の下は 汗びっしょり
肥料7種類 合計140kgを
(ニ毛作の場合は210kg)
その目的に応じて 振り分けます。


魚かす

大豆かす

尿素

焼成貝殻粉末

硫酸加里

高度燐特号
酸度矯正として 苦土炭酸カルシウム
有機物として 鮭発酵もみがら堆肥

さて  この肥料群を以って
「有機栽培」と
言えるかどうか?

無機物も施用しているので
「完全有機栽培」では
ありませんね。
ただし 無闇に
化成肥料を使ってません。
「有機栽培」の
エッセンスだけ頂いて
それを実用的に応用している
そんな感じでしょうか?

赤ちゃんを育てることを
想像してみてください。
母乳で育てると
強い子になりやすいですね。
でも母乳だけだと
量や栄養が不足気味
になる時期もありますね。
そんなとき
人工乳や栄養剤で
補いませんか?
離乳時も同様ですよね?

母乳が有機肥料なら
人工乳や栄養剤が化成肥料
そうお考え下さい。

もしも安易に
人工乳やサプリメント偏重で
スナック菓子に偏食した成長だと
体質も弱く 若年性肥満になりやすい。

もしも なにがあっても
栄養摂取は 母乳100%!
摂取障害があっても 加工品はダメ!
たとえそれが 成長過渡期でも。
それじゃぁ 子供が
死んじゃうかもしれない…

そういうバランスの中で
我がふあーむは
曖昧な定義の Best より
常に確実な Better を
採り入れていきます。







5.移ろい

久しぶりに
函館から汽車に乗りました。
そこには時代の移ろいが
進化という名のもと
散らばっていました。



そこに青函連絡船は無く
青函トンネルをくぐってきた
モハ485系特急型電車が
音も無く滑り込んでくる。



もう20年以上も 前になるのか
函館駅のプラットフォームには
10〜13両という長大編成の
キハ82系特急型気動車が
3本も一斉に顔を揃えていた。

いまホームは 余っている。



ここだけは昔日のまま
夫の大好きな
立ち食いそば。

本州から連絡船で到着し
なが〜いホームを
重〜い荷物を抱えて
先頭付近まで一生懸命走って
自由席車両にたどり着き
椅子穫り競争に勝ち残る。



ふ〜っと一息入れて
「さてとっ…」とホームへ出て
おもむろに向かう場所
ここでそばを食べるのは
一種の儀式
つゆの色を見て
「あ〜っ、北海道に帰ってきたなぁ」
と、実感したのであります。



そして供試される車両は
キハ280系特急型気動車
キハ82系が360psなら
こいつは710ps!
加速の違いはもちろん
営業速度も130km/hが可能



しかも振り子式台車
コーナリング速度が
段違い!



長くてきつい登坂でも
まるで飛行機のように
バンクしながら
加速していきます。



とにかく速くて
ゆえに あずましくない。
「ビールのんで ゆっくり弁当」
が、出来そうに無い。



あっという間に 長万部
たった1時間で
終わっちゃった。



長万部から昆布まで
最高速60km/hの世界



蕨岱(わらびたい)
もう人の気配が無い所
でもここで乗り降りする高校生も
確かに居た
この線路が無くなると
やっぱり困る人たちがいる



長万部から
峠を二つ越えて
蘭越へ

ここ函館本線は
明治初期
函館から札幌へのメインルートとして
真っ先に開発された線路

…なんだけど
もう特急も急行も 走らない
1時間に1本の普通列車のみ
進化の一つか
退化なのか



駅から歩いて3分
かわいいキャリィが待つ
我が家に到着
田舎にあっても
駅前地区は 便利がイイ

世の中
進化のバランスって
けっこう難しいなぁ


今月もありがとうございました。

進化
色々試すから 進化する
退化
何も試さないと 退化する

いまに安穏とせず
いまを捨てても 試すこと
もし試したいなら
いまに固執しない

農作業も 家族も
毎年 取巻く環境が変わっていく
自分達も変わっていく
変わった先のことなんか
誰にも 分かりゃしない



ことし 息子達は
去年までより 好意的に
農作業を手伝ってくれる
農作業を中心として
家族の輪が広がって
厚みを増してくる

彼らも年齢が上がってきて
会話や言葉が少なくなってる
でも互いの信頼感は
逆に深くなっているように感じる
特別喋らなくても
互いの空気で
言わんとすること
感じていることが
伝わるようになった



長男の旅立ちの朝
6時の出発を控え
家の周りを
散歩する息子達

言葉は少なく
互いに距離をとり
近寄ったり 離れたり
顔を会わせる風でもなく
ただ 所在なげに
ゆっくりと 散歩していた

そこには 間があった
時(とき)の間
空(くう)の間
無形であるがゆえに
保存が出来ない
だけどそれは
唯一無二 絶対永遠な
わたし達にだけ理解でき
わたし達にだけ残る
貴重な 間



それを皆が感じられるようになった
これって 素晴らしい進化
だと思うのです。
たぶん みんな死ぬ時まで
憶えている 間だと思う

そんな間を 一つでも多く
みんなで創っていきたい
それが我がふあーむのこども達の
原点でもあるのだから



来月も 報告できることを
楽しみしております。
それまでどうか
お健やかに






 
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