小柴家の風景
'06年 7月 「夏は来たか?」

「王子様 白馬に乗って 通り過ぎ」


北海道より 小柴です。
作業時のお供 NHK第1ラジオ
携帯ラジオをポケットに忍ばせたり
軽トラのラジオをドア開けっ放しで聴いたり
農作業中、特に根の詰まる手作業では
程よいリラクゼーションなのです。

冒頭の川柳、土曜午後のNHK第1ラジオ
「関西発 土曜ホッとタイム」の
「ぼやき川柳」コーナーから。
これは笑えた。
我が代表とは別々に作業しているのですが
遠く離れたところから
同じタイミングで笑い声が。
「おーい、いまの聴いたかぁ?」
「うーん、笑えたぁ!」
沢山の白馬を見送った(らしい)我が代表の
いささか開けっぴろげな反応でした。



白馬を見送ってきた(かもしれない)我が代表は
いま 珠のメロンに囲まれて
嬉しい夏を迎えました。

6月の日照不足は 7月になっても継続し
メロンたちの仕上りは 標準より1週間も遅れました。
でもそれだけ見かけより ズシッと手応えある
中身の詰まった珠のような玉たちが
見事に出来上がりました。



今月は
「夏は来たか?」

6月から続く天候不順でも
6月に壊れたトラクター修理しても
立ち止まることなく淡々と
毎日の管理に精出す7月です。
整枝、誘引、潅水、防除、除草
でも春と夏の間で
すこしメリハリをつけて
からだとこころの養生を試みています。
それはどんな様子だったか
ちょこっと覗いてみたらどうだい?







1.懐かしい風景と匂い





先月報告の トラクター破損
いよいよ修理です。
トラクターって モノコック構造なのね。
シャシなるものが無いわけ。
エンジン+ギアボックス+デフケース
以上が串刺しで一体となって
耐力構造を形成しています。
上の写真は「左:ギアボックス」「右:インプットギア」



ギアボックスのアップ
「左:PTOギア」「右:走行ギア」
基本はオーソドックスな常時噛合い式
ただしシンクロはありません。

シフトフォークが見えますねぇ。
ドグクラッチが見えますねぇ。
特徴としてギアボックス内にも
湿式多板クラッチが配置されていて
前後進、クリープ、PTO独立制御などを
可能にしています。



見事な 歯折れ、Tooth Break!
場所は PTO4速ギア。
「左:Driven」「右:Drive」



Driven Gear のアップ。
歯が2枚無くなっているでしょ?
写真で見て上側の歯元にそれぞれの起点となる
疲労破面が残されています。
つまり1発の衝撃荷重で壊れたわけではない
しばらく時間をかけて壊れてきたのです。
総削りで工夫した形状なので 高いんです。
(1枚3万円、1組で6万円!)
うちで引き取ってからなのか
元のオーナーの時からなのか
それは分からない。



中古品の宿命です。
でもうちできっかけを作ったんだろうなぁ。
ロータリーがだいぶ石に跳ね飛ばされていたもんなぁ。

これからは基本を思い出して
PTO変速側での重負荷はいけません。
あくまでPTO側ギアは1〜2速
速度変更はロータリー側ギアを組替えて
ねっ!





さて、クラッチです。
ヘッド、ブロックとも鋳鉄製の 頑丈なエンジン本体
たっぷりのフライホイールに付いているのは
クラッチAssy.
フライホイール径がクラッチ径より
はるかにデカイぞ!
低速高負荷ディーゼルエンジン
ならではのスタイルでしょうか。



クラッチディスク、磨り減っちゃってます。
ディスクに刻まれる扇風機のような溝
これが消えかかってますが
とても重要な役目があるのですよ、この溝。
磨耗粉を排除するんです。
もう消えかかってますね。
交換時期です、高いけど仕方が無い。
(数万円するんだそうだ、これが)
1回の工賃で沢山のメンテをしてもらいましょう。



おまけ、これはデフボックス。
走行系とPTO系の最終減速と
アタッチメントの油圧系が詰まってます。
写真両側にリアホイールが見えるでしょ?
トラクターってね、サスが無いんですよ。
リジットもリジット、エンジンから車軸まで
完全固定です。
その塊りの上に跨って運転する
そういうイメージです。



中核部のオーバーホールを終えて
目出度く圃場に帰ってきた相棒。
これで済めばよいのだが
請求書まで連れてくるんだよね。
20万円は下らないそうです、修理代。
数千円単位で切詰めた経費も
こういうことで一気にチャラになっちゃいます。
これも授業料かな、トホホ。
でもこのトラブルで周りには
安心してもらえたようです。

この件を聞きつけたご近所の先輩農家
「口で言ったって頭で考えたって分かるわけね」
「経験して失敗してみなきゃな」
と言いながら、とても嬉しそうな顔してます。
含み笑いで、堪えても堪えきれないって顔で。
なぜ? それは簡単
「他人の不幸は蜜の味」
(お腹の中で ざまぁ みろ!)
これって農家の性なのかい?

逆に「おい、最近どうだ?」と聞かれて
「順調ですよ」なんて言おうもんなら
「それ当て付けかい…」
「???」
「他人のいい話聞いて、面白いわけないべさ」
「???」
「ふつう妬ましくなるもんだべさ」
「すみません…」

新規就農者は こういう風土と付き合うことも
仕事のうちです。
(負けねぇから! と肝嘗める)







2.初収穫 待ち遠しい

晴れないんですよ、まったく。
どうしてくれるよ。



どんより、ひんやり
疫病が好きそうな天候が続きます。



収穫予定日 7月10日
これが我がふあーむの 初収穫
だが しかし さりとて なおも あいかわらず
曇り続けます。
メロンの色が抜けないのであります。
成熟速度が非常に緩慢なのであります。

たとえば
通常は15日ほどで成熟しますが
ことしは20経っても まだまだ
22日経っても もだ
25日経って もういいかな?
そんな感じです。



御予約いただいたお客様には
お待たせできない方々もいらっしゃり
そういう方たちには
全520玉をくまなくチェックして
ピンポイント収穫して こまめにお届けしました。



んん? 晴れるか?
晴れるときの兆候 それは
薄雲の天頂部に青味が差してくるんです。
7月のある日
気団が一気に入れ替わった瞬間です。



1時間もしないうちに
雲が切れ始めました。
高気圧の乾いた空気が
不安定な大気を押しやって行きました。





穫ったどぉ!
きめ細やかな 色白美人
早生品種特有の ふっくら太り
すこーし 黄色味が差しています。



切り取ったばかりの蔓からは
つい今まで送り込まれていた樹液が
トロリと滴ってくるのです。
触れば痛い繊毛と相まって
新鮮な直送モノしか見られない
固有のサインになります。

お買求めいただいたお客様には
心当たりはありませんか?
届いた箱の内側に付いてる
蔓が触って出来た沁み。
あの沁みは一般流通品では まず見られません。
なぜって、収穫してから日にちが経ってるし
お手元に渡るまで入換えられてるし。
だから 箱の内側の沁みは
朝もいで午前梱包の 証しなのです。




ことし 我がふあーむは専用箱を起こしました。
外観は 茶色無地(無印良品のイメージ)
内装は 白(メロンたちの顔が映えるように)
そして箱正面 左下にエンブレム
シーンプルに スタイリッシュに
イメージを統一できるもの。
今年の答えはこれです。



幸せなこども達
この子たちの嫁ぎ先は明確です。
「静岡県磐田市 ○○様」
「神奈川県平塚市 ○○様」
「北海道札幌市 ○○様」

エンブレムと 行先票をつけて
これから旅立ちます。

御注文は こちらから!






リーフスプリング
軽トラのリアサスペンション
たわんでます、しっかりと。
この上に何が乗っかっているのでしょうか?



たっぷり4段積み
60ケースのメロンたち
引取り先が決まらなかったこの子達は
悲しいかな 何処ぞと知れず
市場へ流れていきます。
こういう子達を一つでも減らせるよう
これからも頑張っていきますよ。
One to One
このコミュニケーションを大切に。







3.だぁーいに らうーんどぅ

先発2棟は 2毛作です。
「にけさく」じゃないよ 「にもうさく」だよ
1年に2回作付する事です
収穫すれば直ぐに次の定植です。




これ、株の根っこです。
意外と細い根幹でしょ?
このちょっと太目の根幹が
数本だけ四方へ延びて
その周りから根毛が ぶわっと拡がります。
根毛、これが大事です。
長さ3m、幅2m、深さ1m
これだけの容量の土を捕らえて
珠のような4玉をヒぶら下げます。



根っこを抜いちゃえば
ほんの10分で こんなになっちゃいます。
そして 引っこ抜いた根は死んだと知らず
2〜3日くらい樹液を地面へ噴き続けます。









新しい苗だよ
10月末にお届けする株です。



1作目の後で
掃除して 草とって 消毒して
水分調整して トンネル整えて
サッパリとしたハウスで
「だぁーいに らうーんどぅ」
カーン!







4.夏は地道に 淡々と




夏の気団に入れ替わり
春仕事とは別な意味での
体力勝負。



照りつける太陽
眩く光るハウス
管理作業は続きます



露地トンネルは剥き身だから
こんな作業も 丸見えです。



ベッドに板敷いて 股割りの姿勢で
トンネルに潜り込みます。
ハウスの中でも基本的に一緒。
外から見えないだけです。
着果する蔓を整える作業
これは栽培管理の山場の一つです。



一列に整然と、が管理の要
これが出来ないと
一斉にゴールインできません。
つまり玉揃いが悪くなり
売り物が減るのです。
売ってる人たちも いますけどね…。



メロン栽培は からだを壊す人が多い。
ひざ、腰、肩、首
長時間のしゃがみ姿勢や
中腰で半身覗き込む姿勢
これらが骨を奇形化させて
神経を圧迫するのです。

みなさん、いまのうちですよ
僕たちのメロンを味わえるのは
なぁんてね。
そうなるには10年以上続けないとね。
いや20年は続けたい。
そして納得いくまでやって
からだ壊して
サッパリと手を引く。
力強く 潔く
そう生きていけるといいですね。







5.七夕




織姫と彦星
年に一度の逢瀬

北海道の七夕は 函館地方を除いて8月7日
地区子供会とPTAのタイアップで
学校でお泊りレクリエーションがあります。
楽しみが少ない地域だから
親達で工夫して 機会を作ってあげます。



火が燃えると やはり男子が群がる
私もそうでした。
火が大好きでした。
焚き火、花火、爆竹、大好きでした。
これ危ないか?



いやいや物理現象への 好奇心と言って欲しい。
「火」
これは燃焼という 連続酸化反応を意味します。
「木」というセルロースの塊りが
「火」という熱で気化して
「空気」という酸化剤で
爆発的な光と熱を再生産する
一連の連鎖反応…



エンジンの燃焼室でも同様な事が起きてるわけで
私のルーツは 焚き火にあったのかな。

でも「火」って不思議な魅力がありますね。
なんぼ見てても 飽きないよ。
原始時代の古い記憶が
いまだ海馬の奥に眠っている
との説を読んだことがあります。
「火」を使いこなすのは 人類だけ
この文明は「火」に基づき
無形の価値を与えられ文化になる
「火」の祭りって多いですもんね。

いまのこども達は どうなんだろう。
「火」を見つめる顔は
大人も子どもも 素直で柔らかい



キャンプファイアーで盛上がるのは
YOSAKOIソーラン のダンス
もはやフォークダンスではない
「マイムマイム」や「オクラホマミキサー」で
ドキドキした頃を思い出すのは
保護者の中でも Upper Age の私たち



ねっ、みんな若いんだよ
私らは年寄り扱いで
いいように突っ込まれて
楽しませてもらってます。
(いや 楽しませてやってるのさ)
北海道のかぁちゃん達は強いからねぇ。



学校の裏には お寺とお墓
元祖 「肝試し」
こども達より 陰で仕掛けてる大人の方が
よっぽど怖いよぉ。
霊感の強い大人は
肝試し係はやりません。
そこら辺にも なにかいるらしい…







今月もありがとうございました。

NHK第1ラジオ 「夏休みこども電話相談」が
連日放送されてます。
夏の風物詩です。
結構楽しめますよ、これ!
好奇心旺盛な子供の反応は素晴らしく
「へぇーっ!」 とか 「えぇーっ !?」 とか
こころの驚きが クリアに伝わってきます。

回答する先生方も 粋な人が居て
秀逸な名回答がひねり出されます。
「流れ星に願い事すると 叶うのは本当ですか?」
即座に 言い切りましたね。
「本当です!」

曰く 「流れ星はほんの一瞬で消えてしまいます」
…その一瞬で願い事を出来るあなたは
普段からそれだけ強く 願っている証拠です。
そんな強い気持ちがあれば
叶わない事はありません。
だから 本当です…


不覚にも涙腺に来てしまいました、このとき。
こんな説き方を 普通に出来る大人になれるよう
年輪を重ねていきたいものだと
このとき思いました。

それではまた来月 お会いしましょう





 
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