小柴家の風景
'05年 5月 「Actually Started !」
皆さん如何お過ごしでしょうか?
北海道より 小柴です。
今月は報告がいつもより遅れました。
大変申し訳ありませんでした。

さて桜前線が駆け抜けていきましたが
6月の北海道、観光には絶好の季節となりました。
初夏の日差しに充たされた とても爽やかな日が続いています。
5月初旬の天候不良も いま取り戻さんとしているようです。
農家にとって嬉しいのは 太陽の光。
5月後半はホントに天気が安定しています。
お蔭さまで農作業も休みなく行われ
そして事務仕事が滞りがちになる
という図式です。



疲労と睡眠不足のなかで
体力は言うに及ばず
気力も思考力も実行力も
そして決断力も交渉力も
(資金力も?)試されています。

でも精神疲労は少ないのが幸いでしょうか。
「小柴ふあーむのこども達」も次々と定植されています。
そういった意味では「ホントに始まったなぁ」と実感します。

今月はそんな状況を
「Actually Started !」と題して
報告致します。
どうぞお楽しみください。



1.ハウス1号棟 完成

ハウス第1号棟の完成とともに、記念すべき初定植が行われました。

出現したビニールハウス、秀吉の一夜城もかくやあらん、と思わせるような、ごく短時間で姿を現します。
明け方の2時間、海で言う朝凪の時間帯にビニール掛けが行われます。





表通り(道道昆布停車場線)から見える我がハウス。いままで何も無かったところに、キラキラ光るドテッ腹をいきなり見せつける。衆目を集め過ぎて、いささか怖い。






ビニールハウス、実は単なるドンガラです。
両端の妻面をキチンと嵌め合わせないと密閉されません。この妻面は材料だけをもらって自分で加工組立てするので、少々時間が掛かりますが結構楽しめる作業です。




                     

妻も完成し、あとはベッド造成を待って取り付けます。朝のビニールハウスは、陽光に輝く「蘭越のルミナリエ」と化します。


2.いよいよ定植

ハウスが整い、次は土の仕上げです。









耕起して適度に乾かした土に肥料を振ります。土+水+肥料+空気、この配合を整えます。トラクターで土をかき混ぜるのは、この4要素を網羅する為なのです。土中の空気、実はとても大事なのです。






ベッドが出来たのは、夜の8時半頃。
これが出来ればとにかく地温を上げ始められるのです。最初のチェックポイントといえるでしょう。メロンの要求地温は最低でも15℃以上です。




ハウス内の各ベッドにビニールトンネルを張ります。いくらハウスでも早朝の気温は7℃まで下がり、地温も15℃ギリギリをうろつきます。ですからこうやってビニールで囲い熱放射を遮り、温度維持に努めます。



                     
これが メロンの苗。
播種後30日の育苗期間を経て
ハウスのベッドに下ろされます。
人間でいうと20歳ころ
社会環境(本畑)に適応(活着)できるかどうかは
子育て(育苗)中の優しさ(保温)と厳しさ(水)
に左右されます。

  定植。
レースは始まりました。










見事活着!
大きく腕を広げて、新芽が動き始めます。
新環境に慣れて自活し始めるまで1週間くらいかかります。



この子たちが生命と引換えに残す子孫
それが私たちが頂くメロンです。
8月10日頃から お届けできる予定です。


3.圃場整備

畑の排水工事が重要なのは既報のとおりです。
それは春先の融雪水処理に始まり、シーズンを通じての雨水処理に及びます。
しかも、溝を切っておけばそのレベルで地下水位が決まるので、時間をかけて耕作土層の水が抜けていきます。
施設栽培の基本、水を制すべし。



まず表土を剥ぎ取ります。
「表土」とは、栄養を含ませて根を拡がらせる柔らかい土のこと。表土の量で根の量も決まり、作物のタフさや出来上がりも決まる。施設栽培ではハウス内に出来るだけ厚い表土層を確保するのが理想です。ここ北海道では、大地の豊かさを存分に生かした栽培が可能です。


こうして整備された現場(圃場)に基地(ハウス)を設営し、後続部隊(メロンたち)を続々投入(定植)していきます。






Another Pole is here.
かなた au by KDDI、こなた 北海道小柴ふあーむ
潅水設備の動力として 三相電源を引きました。
いっちょ前に言えば 受電設備です。
 


4.くつろぎ

「晴耕雨読」
みんなが憧れる農家の姿です。実際はそんなのんきな世界ではありません。日々戦闘です。
自分との戦い、作物との戦い、気象との闘い。もっと気楽に付き合えるといいのですが、まだそんな余裕は何処にもありません。
でもほんの一瞬だけ、ほんの片時だけ、自分を取り戻し周りに目をやる瞬間があります。えもいわれぬ至福の時であります。やっぱり農家はいいなぁ(と思えそう)。

                                     

早朝ハウスを一巡し、地温・雰囲気温を点検記録します。昨日の残務を再確認し、今日の予定を見直します。手配資材を計算し取りまとめ、発注準備を整えます。
いま現場事務所がありません。一連の作業は軽トラの運転席で行います。ポットに入れてきたコーヒーをすすりながらかすかにラヂオを囁かせ、圃場や空に目を遣りながら考えをまとめていきます。



作業は過酷です。新規就農者にとっては熾烈な戦いの連続です。とにかく身体がきつい。作業途中の通称「いっぷく」は、体力維持にとても大切です。特にすばやくエネルギーに置換する糖分摂取と水分補給は欠かせません。身体が欲するのです。





突然の来客も楽しいもの。
移住でお世話になっている人たち、北海道在住の旧友、はるか静岡からの応援団。
どれもみんな暖かく励ましてくれる大切な人たち。応援メールも多方面から入ってくる。これまでにお世話になった人たちが愛想も尽かさず見守ってくれて、なんともありがたい。組織から抜け出て分かる孤独感。それを癒してくれるのは、まぎれもなくこんな人たちです。


厳しくも楽しい農家。
いま始まったばかりですが
こんな一瞬の積重ねが 私たちの人生
その現場に居合わせた者にしか分からない
価値ある時間
夫婦でそれを共有できたら いうことない
死ぬ時に脳裏をよぎるのは
こんな一瞬のどれか なのであろうか



5.定植本格化



メロンだけではありません。
秋の商品として かぼちゃを
来期以降向けて アスパラを
次々と定植し始めていきます。

そのための圃場準備
硬盤粉砕、表土反転、肥料散布、乾燥砕土
そうそう アスパラのような永年作物は
大量の堆肥投入が欠かせません。
(今回はたった6畝に 30tonを投入)

バックホウで積込み ダンプで搬入
全部自分でやれるこの楽しさ
機械を快く貸してくれる人にも感謝です。

一方で作付計画の変更もありました。
栽培作物を少し整理して
来年度への 圃場準備をすすめます。
少々ラインナップが減りますが
主力商品の品質確保を最優先してまいります。


5月末、私たちに働く仲間が増えました。




今月もありがとうございました。
月報の配信が遅れましたこと お許しください。
また お買物コーナー「あうとれっと」の準備も
遅れております。
商品編成と生産とが十分整合しないまま
皆さんへご案内するのは慎みたい
そして 現場作業により事務作業に遅れが出ている
このような背景で 御案内が遅れております。

商品のご案内は今しばらくお待ちください。
定植結果をみて お知らせします。
どうぞ宜しくお願い致します。


さて定植作業が佳境に入り
本当に農家らしい日々を送れるようになりました。
すべての調達・設営を一からやるので
既存農家の忙しさを上回っているかも知れません。
いやプレッシャーからそう感じるだけかも。



これまでも何回かお伝えしてますが
支援者がどんどん現われてきてくれます。
5月もアスパラ定植に際して
株を分けてくれたり 堆肥を分けてくれたり
その散布を助けてくれたり。

ある日の午後 霧雨のなか
私たちの畑にいっぺんに3台のトラクターが現われ
ゴォーゴォーと唸りを響かせました。
考えられぬことです。
みなさん自分の仕事の合間を見て
自然に寄ってきてくださった。

そのとき 作業をしながら 泣けました。
我が代表も 泣けてました。
私たちのために この狭い圃場に
何台もトラクターが 集まってくれるなんて。
その光景を思い出すだけで
いまでも泣けてきます。

いつの日か 私たちが自立できた暁には
私たちも そう出来る人間になっていたい。
他人の痛みや苦しみを分かり
少しでも分かち合えるような人間になりたい。
そういう大人に なっていたいと思います。



いよいよ梅雨入りですね。
体調を崩し易い時期です。
皆さんも 御自愛くださりますよう。
小柴でした。


 
発行    編集局 制作責任 小柴孝志
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