小柴家の風景
'05年 3月 「季節巡りて」
3月が去っていきました。
やっと冬が終わりを告げました。
如何お過ごしでしょうか?  北海道より 小柴です。

すでに内地からは桜の便りが届き始めましたね。
さすがに例年より1週間ほど遅れた開花宣言でした。
旧住所の静岡県天竜市山東 二俣川右岸。
そこには それはもう見事な桜並木があります。
北海道では考えられない 染井吉野の乱れ咲きです。



私たち 北海道に入ってから1年が過ぎました。
昨年の桜の季節に静岡を旅立ち
まだ雪深いこの地に着きました。
そして初めての冬に向かい
10年ぶりという大雪を 闘い抜きました。
そんな感慨をちょっと織り交ぜながら
「季節巡りてと題して 今月の報告をお送りします。



1.春の訪れ

それは路面に先ず 現われます。
昔と違い いまはロータリー車が常備されているので、路面圧雪は非常に薄くなっています。大気のちょっとした変化は路面コンディションになって出現し、このような雪壁のなかのドライ路面が私たちの緊張感を和らげてくるのです。




雪が眩しく 光ります。
雪盲(ゆきめくら)ってご存知ですか? 春先の雪中で起こる視力障害です。ひどい場合は永久ダメージを被ります。雪面からの強烈な照返しが、つまり紫外線の猛射に晒される結果です。この猛射、ハンパじゃありません。この紫外線を利用して、越後は小千谷の縮みが漂白されるのは、けっこう有名です。でも人間の肌は漂白どころか、過度熱傷と同じになるのでお気をつけ下さい。


山麓 +4℃、山頂 0℃、積雪450cm。
春が訪れた朝の気象です。山頂駅は標高970mにあり、日本海からの季節風、シベリアの寒波をまともに浴びる場所です。そこが0℃までなるというのは、まさしく気団が入れ替わる証拠です。でもこんな日は春一番的強風があり、最上部リフトは運休となることがあります。凄いんですよ、風の力って。リフトをワイヤごと外しますから。
3月14日 積雪調査、約160cm。
久しぶりに土の顔を見ました。まだ融けはじめていません。というのも下まで真っ白な雪でしょ? 融けはじめると雪から粒氷の状態に変わります。そう、それは粗目砂糖(ざらめさとう)そのものです。雪が融解と氷結を繰り返しながら、締まり解けて融けていくのです。



積雪160cmとは、こういう状態です。
私のアゴまであります。この穴を掘るのに役立ったのはスキー場での修行です。深さ6mに及ぶ穴掘り経験から、これくらいはへっちゃらです。まず畦の法面に取っ付き、横から掘り進むんです。しかも必要な面積の2倍以上の広さで。そして擂り鉢状に掘り下げます。そうでないと下に降りてからの排雪場所がなくなるんです。擂り鉢の内側に雪を置きながら掘り、出来上がりは真っ直ぐな穴となります。



融雪材を撒いて雪面にデコボコをつけます。
1週間でこれくらい融けます。「乱流境界層の熱伝達」とか
「表面体積比と熱移動」という伝熱学の知識がここで役立ちます。(大げさな!)


2.メカニカルな風景(プライベイト編)

英語で「機械的」という意味のメカニカル(Mechanical)。
機械工学はMechanical Engineeringと言われます。
久しぶりにメカニカルな時間が持てたのです。
公私にわたり与えられたメカニカルな時間。
どうぞご覧下さい。



静岡から友人が スノーモービルを持って訪ねてきました。
かっこいいですね、
200km/hくらい出るんだよ。
質感もいいなぁ、音も洗練されたね。
どこから見ても隙がないよ。
あ、そう、やっぱ値段もイイんだね。
(トラクターの方が先だよな、当然…)

フェアリングを外す。
まさに「内臓」と呼ぶに相応しい光景が、眼前に広がる。一体なんだこれは!? 単なる無機質の部品なのに一つとして無駄なものはない。いや、こうして集合体となることでこれらは有機体としての自己主張を始めているではないか! そして有機体となった「内臓」は、鼓動を隠そうともせず躍動感をみなぎらせているのだ。私は叶わぬことと知りつつも、全力で疾駆しているときのこの有機体を、フェアリングを外して眺めてみたい衝動に不意に駆られるのであった。

心憎い演出だ。
こいつに鞭打つべく、シートに跨りポジションを決めた時のことだ。眼前になんとも言えぬ空間が現われたのだ。それは限りない広がりをもち、みるみる私を包み込んできた。なんと言うことだ、なんの拘束も受けない剥き身のライダーが、天地という自然のエクステリアに包まれるなんて。そしてボディを構成するグラマーな曲面が次々と眼に飛び込んでくるではないか。自分の姿を居ながらにして確認できる。本来はエクステリアたるフェアリングたちが、このクルマではインテリアとなっている。私はしばらく目を奪われるにまかせるしかなかった。

以上、カーグラフィック誌とは何ら関係のない
徳でぇ寺 がレポートいたしました。

3.メカニカルな風景(パブリック編)

農機具展示会です。
この時期、農業関係の資材調達が活気を帯びます。昨年の雪辱を期すべくおやじ達が集まって、「まずは機械から」と物色し、その脇でおかあちゃん達の鬼のような形相がおやじ達の暴走を食い止め、激しい攻防が展開されます。
さて我が家、145psのモンスターをお持ち帰りでしょうか?(イイ響きですねぇ) 定価10万円/psの世界ですから、さておいくら? いや豪農さんのようには行きません。 さ、長居は無用。次のブースに行きましょう。

145psは身の丈知らず。
我が家の農地なら方向転換するだけでおしまいです。そこでこれ! 約300万円の正札が付いてます。逆算すると 何psかな? これくらいのサイズが、私たちの目指すところです。 これくらいの資産を減価償却出来るようにならなければ、経営が軌道に乗ったと言えないでしょう。明日の我が家を思い浮かべつつ、さぁ次のブースへ移動しましょう。


耕運機、とは言わず「管理機」と言います。
その違いは、単に土を起こすだけの機能か、アタッチメントを装着して土寄せやマルチ張り、中耕、除草までカバーするかの違い。つまり管理機とは万能動力源であり、持てる機能はトラクター顔負けなのであります。大出力機械の必要性は、こういう機械で基本を理解すると良いのです。我が家の耕しは、この6psから 始まります。



展示会のお決まりサービス、そば or うどん の振舞い。
ジェットヒーターで背中を暖めながらすすります。


4.子供たちの成長


雪とは無縁の静岡から引っ越してきて
大人以上に色々な思いをしたのが
我が子供たち。

自然環境はもとより、交友関係を一から創りあげ
新たな世界を切り開いてきました。
当然、良いことばかりではなかったはず。
寂しい思いもしたし、つまらないこともあった。
残念だけど嫌な思いも しなければならなかった。



でも悪いことばかりでもなかったんじゃないか。
そんな慰めに素直にうなずける強さ
彼らは身に付けてきました。









世の中始めからうまくいくわけじゃない
自分で創る努力も時間をかける忍耐も
親子で勉強できた1年だったと思います


閑話休題…

「僻地校」って指定されているんです、我が小学校は。
年度始め・終りには、PTA総会&歓送迎会があるのです。これは教職員だけでなく、PTA会員の(つまり保護者)の入退会者も含まれます。私たちも昨年春に歓迎されました。

学校の体育館で1次会、校長宅 or 教頭宅で2次会、近所の1軒しかないパブで3次会、PTA会長宅で4次会。私たちは学校から10kmも離れていて車を使うのでフルコースをたしなめませんが、これが地域親善の第一関門なのです。



5.再びの引越し

町営住宅への入居が許可されました。

結婚以来7回目の引越しが始まりました。
もともと町営住宅への入居を望んでいたのですが諸般の事情が整わず、先ず住める所という選択でこの山荘を借りました。この山荘があったこと自体ラッキーでしたが、今度の畑には遠すぎます。いいタイミングで引越しできて良かったです。でも…、またまた費用がかかります。超ハイシーズンのトラック、人件費にカーテン、ストーブ、照明、ボイラー。工事費込みで、アアァァ!気が遠くなるウウゥゥ…。

「町営住宅入居許可証」
許可していただきました。ありがたや、ありがたや。私ども平民は御高誼のお蔭で暮らしていけてるんです、という感覚を備えなければいけません。ここは北海道、開拓の昔から御上あっての社会なんです。いや日本中、どこに行ってもこんな感じかな? 立派な住宅を借りれて幸せです。



お家賃は 最低ランク。
これは納税者として喜ぶべき事なのかどうか、いささか複雑。御上に認定していただいた私たちの収入、0円です。確定申告も節税対策も、必要ありません。やはり税金は納めているほうが、自尊心は保たれるようです。(でもいま払えといわれても困るんですが)



「町内に住民票を有する連帯保証人2名を伴うこと」

入居契約書にはそういう方たちの署名・捺印・印鑑証明が要求されます。社会において人間は、一人ではなに一つ出来ません。というか、させてもらえません。社会システムで個人を支える欧米スタイルは想像も出来ず、ムラ社会で相互管理する日本スタイルの原型がここにあります。余程の理由を持つか(すなわち我が家)、しからば親類・縁者でもなければ(すなわち出戻り)、町外からの転入は難しい。人口が増える理由はありません。 イギリスで外国人として生活設営した時のほうが、なぜか日本よりも簡単で楽でした。
去年の今ごろは、こんな感じ。









                              今年はまだこんな感じ。

これでも60cmくらい融けたんですよ。1階床面は積雪対策で高床になっていて、高さ約2mにあります。いま見えている地面(雪面)は、地上2mの高さにあるということです。この山荘の引越しは春にしか出来ません。たんすとかソファの大型家財は玄関をくぐれず、窓から出し入れ
するしかないのです。それには足場が必要であり、固く締まった春の軒先は絶好の足場になるのです。引越し一つ、自然の力を借りねばなりません。



今月もありがとうございました。
春は
三寒四温を繰り返しながら
徐々に雪を溶かし続けています。

この1年を振り返って
子供たちや我が代表の成長は
充分に評価されるべきものと確信します。
親も子も 臨んだ環境から逃げることなく
その場その場を堪えて 眼を伏せずに
四季を一巡りできました。



子供たちは 傍に居てくれる友達がいたから
親たちは こころを傾けてくれる支援者がいたから
初年度のハードルを越えられたと思います。
この1年は
孤独との闘いだったとも言えます。
利害もろとも私たちを受容れてくれる人たちの出現まで
孤独感に襲われ潰されそうになることもありました。

多分これから もっともっと辛く厳しい時間が
私たちを待ち受けているのでしょう。
でも支援者はこう言います。
「自分の城だぜ、楽しまなくてどうすんだよ」
その一言があるだけで なんと救われることか。
これからの私たちは もっとタフになれるし
もっとハッピーになれそうな気がします。

人は優しくされたくて 優しくするんじゃない
優しくされたから 優しくしたくなるんだ
いまの私たちはたぶん とてもイイ顔になっています
こころがピンクに染まっているはずです


今月もありがとうございました。
資材手配も一段落し いよいよ本番です。
来月報告では苗の定植直前レポートをお送りできるでしょう。
果たしてどんな圃場が準備できるやら
どうぞお楽しみに!
我が代表の奮闘にも 御声援宜しくお願いいたします。
では 皆さんもお健やかに


 
発行    編集局 制作責任 小柴孝志
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