小柴家の風景
'05年 2月 「潮の流れ」
2月が 逃げていきました。
ご機嫌いかがでしょうか、北海道より 小柴です。

冬の中で最も厳しい時期が この2月です。
2月は雪も降るし、吹雪くし、どんどん雪が深くなります
そしてなにより 凍れるし…。
2月は越冬の正念場という感じです。

考えようによっては
ここがピークであり ここを過ぎれば春に近くなる
そんな風に気を紛らわしながら
日々の厳しさをやり過ごす毎日です。

冬らしい冬 これぞ冬
でも農家の今シーズンは もう始まっているのです。
ハウスの雪割り、資材手配
新規の私たちも 例外ではありません。
準備が具体性を帯びてくるに従い
やる気が徐々に湧いてきます。
今月は
「潮の流れ」と題して
静かながらも 始動する2月の風景をお伝えします。



1.冬の微笑

厳しいだけが冬ではありません。
時おりこんな素敵な顔も見せてくれます。 雪が眩くひかり、誰しも「美白ライト」をあてられたようになります。 つまり、お肌の疲れを10歳はごまかせるというわけです。 しかし、調子に乗ってはいけません。 この「美白ライト」を30分でも浴びて御覧なさい。 「顔グロ 日サロ」状態になり、お肌の疲れが10歳は進みます。くれぐれもお気をつけ下さい。


チセヌプリ、標高1134m。
ニセコ連峰の秀峰です。この山、見かけによらず恐いんです。ニセコを縦走中にチセで吹かれると方向を見失いやすいのです。頂上部がのっぺらとしているのでどちらにいっても同じ感覚になるのです。冬山の典型的遭難パターンです。




昆布岳、標高1045m。
山としての知名度は高くありませんが、道南地方の広い範囲から視認出来る山です。 なんといってもユニークな形で記憶に残ります。 農家の人はこの山の形は好きじゃないでしょうね。 栄養不足でひん曲がったアスパラの芽ソックリなんですから。 かわいそう。


2.アルバイテンな風景
ドイツ語で「働く」という意味の動詞、「アルバイト」はそこから来ています。 「アルバイテン」とはその過去分詞形、つまり「働いちゃった様子」という意味になりますか?

風速計、よく回ります。
地上10mくらいの鉄塔頭頂部に設置されています。 リフトは横風に弱くワイヤロープがプーリーから外れます。 そうならないために、運転室で風速を読めるようにしてあるんです。 読むに値する風速を拾うということは、この場所は一番強風の鉄塔上にあります。


鉄塔の上から。
高所恐怖症の私にはとてもつらい業務です。 最初の頃は足がすくんで、1本登ると体中脂汗でじっとりとしてました。 でも自分が登らないと他の人に迷惑がかかる。 仕方ありません、場数を踏んで慣れていくのです。 凍て付いたはしごは、よく滑ります

あるリフトの山頂監視室から。
何気なく窓をふり返ると、いつの間にかこんな風景が現われている事があります。 ボーダーもつい座り込んで、思わず眺めています。いつも眺める立場だといいのですが、実際は勤務中に風景を楽しむゆとりはあまりありません。 けっこう神経を張り詰めっぱなしで気が付きません。

自然は突然牙をむきます。
天候急変には10分と要りません。 下から湧き上がってきた雪雲が見る見る覆い被さってきて、暴風雪をもたらします。 天気予報? 局地的変化には役立ちません。 細かい気流の変動は、あまりにもダイナミックです。
あっという間にこの様子、瞬間風速30m。
仕事とはいえ、この環境に身を晒せば5分と経たずに顔がやられます。 凍傷でボロボロになるのです。 パトロールの皆さんはこういう時こそ場内管理に忙しく、顔はボロボロです。 誤解しないで下さいね、凍傷でボロボロなんですからね。 そこんとこ間違わぬようにね。


山頂駅は過酷です。
吹き込む風に身体をすくめ、登ってくるお客様を迎えます。 時々いらっしゃるんですが、「あんたらも大変だねぇ、ご苦労さん」と労ってくださるお客様に会えると、「もう少しがんばるか…」という気持ちになれるんです。 人生いろいろ、会社もいろいろ、お客様もいろいろ。

ナイター勤務を終えた午後9時半、もう誰も走らない雪道を
淡々と帰路に就きます。
雪の中の月明かり 写真で感じる以上に 相当明るいんです。
ホッと一息入れながら 車を留めて 空を仰ぎ
「今日も一日ご苦労さん」 と自分だけでなく
我が代表や子供たち 今日をがんばったみんなを思い
ひとり呟くのです


3.冬の素顔


がんばる、がんばりまくる 我が代表。
そろそろ給油かと察し、石油タンクを探しています。 夏であればタンク上面は地上2.5mほどにありますが、すでに足下に埋もれています。
いくら丹念に掘り返しても、二雪も積もればもう分かりません。




我が代表の奮闘も空しく、また吹雪きます。
私はスキー場で、我が代表は家の前で、吹雪にまみれながら除雪に励みます。 コノヤロォ! と叫んだところで、軽くせせら笑われる。 たとえ機械を使おうが、まったく歯が立たぬのは想像に難くない。 これが冬の素顔です。



閑話休題…
今月はB型インフルエンザが我が家に侵入し征服されてしまいました。
しかし特筆すべきは、長男のかいがいしさ。 というのも先発4人はほぼ同時に罹患したのですが、中1の長男だけ健全だったのです。 先発4人が高熱のあいだ、長男は家の除雪からご飯の配膳まで、献身的姿勢を現しました。 1週間後、先発組の完治を見届けて長男は罹患しました。 家族中から大切にされたことは言うまでもありません。 よくやったぞ、あんちゃん!

我が代表、新聞を見て何を思う?
北海道に来て間違いだったか? 静岡に逃げ帰ろうか?
いや そうじゃないらしいんですよ。 この記事には除雪の経済効果で温泉の日帰り客倍増とか、入浴剤売上げ激増とか書いてあるんです。 じつは代表、この2日前に入浴剤を買っていたのでした。 凝った身体をほぐすには、炭酸水素ナトリウムが良く効きます。
街の明かりが〜 全部消えたら  て・い・で・ん!
ご覧下さい、真っ暗です。明かりがありません。 でも停電ではないんです。 あたり前の風景なんです。 ニセコ地区は国定公園ということもあり、原生林がまだ結構残っているのです。 遠くにポツポツと見える明かり、私はこれくらいの人口密度が好きですねぇ。
さてこんなきれいに晴れた翌朝は、凍れます。
でもアンヌプリ1000m台地ですら−15℃程度です。 寒くないんですよぉ、そんなに。 なんだかんだ言っても、道南地方は暖かいですよぉ、道北に比べれば。(このとき道東の陸別や道北の歌登では、栄光の−30℃を突破していたようです。)


4.営農認可

許認可事業である農業、「北海道 小柴ふあーむ」が正式に農家と認められました。

農地法第3条に基づき、農地賃貸を許可する。
つまり正々堂々と畑なり田んぼを起こしていい、種を撒いていい、苗を下していい、農産物を売っていい、そういうことです。 これ、実は大変な事だそうで、内地ではそう簡単に耕作権を与えられないそうです。 北海道でさえ、農地をもらえず複数の市町村を渡り歩く新規就農者になれない新規就農者がいるのです。 この許可が下りて身の周りに変化が現われてます。 色々な交渉が進み始めたのです。 取引きの相手として、認められたようです。

JA、いわゆる農協の組合員になりました。
準組合員って言うんですけれど、すべての取引きは組合員資格がないとダメなんです。 ちなみに正組合員よりも受けられるサービスは格段に落ちます。 補助事業もなければ特割もありません。でも取引きだけはしてくれるんです。 また行政の助成もJAを窓口にしているので、還元される税金はJAの金庫を一旦くぐります。 だから厳密に言えばすりかわった金が渡されるんです。
これって、やばくなくなぁい?


そして資材手配開始。
見積り作業が始まりました。 束のような見積書を並べて脳味噌フル回転です。 相見積り、当然です。 業務用資材となれば員数が半端じゃないので、例え ン10円の違いでも合計は数万円の差に成長します。 シビアなコスト管理が必要なのです。
いま畑は深い雪の下。
降っては締まり、締まっては降りの繰返しで、人の背丈ほどになっています。 平年なら3月に入れば融雪剤散布が始まりますが今年は春の空気にまだならず、2週間は遅れそうだとの周囲の予測です。遅れた分はどこで吸収するのだろうか? 少なくとも苗は待ってくれない。 夏の日射量は決まっている。 おい!どうするだ!?

畑から羊蹄山が見えます。
近くを流れる尻別川上流方向、山あいの向うにどっしと姿をあらわします。 私が好きな雄峰アンヌプリは、背後に台地がかぶさり見えません。 ここで気になることが…。 団地が隣接しているんです。 朝早くからの機械作業や防除作業に制約を受けないかなぁ。 まずはやってみて、恐る恐る反応をうかがうといった感じでしょうか。 なんか内地の生活と変わんないね。 まずトラブルが起きずに気持ちよい生産活動をまっとうできることを祈ります。


5.で、なんにするだ?

カタログ眺めながらを描きます。 値段を調べながら現実を知ります。

まずはハウス、そしてトンネル資材。
機械は背負式動力噴霧器と管理機。なんとか100万でお釣りを出せないでしょうか? 資金温存と言っても桁が違います。 1000万の買物は控えるが100万や200万の買物は仕方がない。 10万や20万の積重ねがあっと言う間に100万です。 だいたい4月から値段が変わり、業者は3月中の注文とりまとめを急ぎます。 その誘導に引っかからぬよう、いや引っかかったふりをして、コスト削減に努めたいと思います。

品種選定も大事な仕事。
自分が作りたいものはもちろんですが、お客様が興味を持って喜んでくださるもの、そして市場性のあるもの、等など加味して考えます。 小柴ふあーむは経営初年度、どれだけの売上げを頂けるかまったく分かりません。 皆さんへ新鮮でお求めやすい品物をお届けできるよう、そして来年度も再来年度も皆さんの御期待に応え続けられるよう、最大限の配慮と努力を重ねていきたい思います。



今月もありがとうございました。
春の気配は遅れ気味ですが 「北海道 小柴ふあーむ」は
確実に前進しはじめました。

2月初めのころは 状況を整理しきれないところがあり
物事の優先順位がつけられずに 困惑することもありました。
でも 支援農家が明確になり 農地が決まり
営農権を取得し JAに加入し
そこから一気に 準備作業が加速し始めました。

波間に翻弄されていた私たちの手漕ぎの舟を
見かねて舫い(もやい)を引っ張ってくれる船が来た。
いままでは漕いでも手応えが あるのかないのか
進んでいるのかいないのか 分かりずらかったのが
途端に進んでいることが 体感できるようになりました。

どこに行っても
「あぁ、あなたでしたかぁ」 と言われつつあります。
農業界と地方行政のシステムは 独特なものがありますが
その流れに身を委ねることも必要だなと
勉強できた次第です。


それはまさに 「潮の流れ」 に乗り始めたが如く。
傍目には気付かぬ 静かな流れ
されど船を浮かべると逆らえぬ 大きな流れ
「潮の流れ」に乗りたくても 乗れぬ舟がある
乗ったがために 流される舟もある
風と潮には逆らえぬ されど舵は我が手にあり




「北海道 小柴ふあーむ」
間違いなく 確実にスタートを切り始めました。
価値ある生産活動に集中できる環境が 整いつつあります。
気持ちは5月の初定植に向いてます。
それまでに片付けること 時間との競争です。


今月もありがとうございました。
いま少しの冬を楽しみつつ
雪に負けぬようがんばってまいります。
我が代表の奮闘にも 御声援宜しくお願いいたします。
では 皆さんもお健やかに


 
発行    編集局 制作責任 小柴孝志
----------------------------------------------------------------
☆ご意見・ご感想は、こちらまで!
----------------------------------------------------------------
★メールアドレスの変更や配信停止、各種問い合わせは、小柴ふあーむまでご一報ください。

(C) Copyright 2004 「北海道 小柴ふあーむ」. All rights reserved.
全文、または一部の記事の無断転載および再配布を禁じます。