小柴家の風景
'05年 1月 「日々是希望」
おとそ気分も あっという間に過ぎ去り
日々の生活に浸るこの頃
みなさん いかがお過ごしでしょうか?
北海道蘭越より 小柴です。

皆さんのお正月はいかがでしたか?
当家のお正月は 穏やか且つ淡々
雪が積もり静まり返った環境の中で
私たち家族は 除雪アルバイトに精を出しておりました。

子供たちの冬休みは内地のそれとは異なり
親子ともに有意義に楽しもうと 工夫した4週間でした。

また経営においての一大事
農地交渉が大詰めを向かえ
七転八倒 艱難辛苦 祇園精舎の鐘の音
紆余曲折の行き着くところ
なんとかかんとか スタートを切れる条件をいただけました。

そんな 静かなのに熱くたぎった1月を
「日々是希望」と題して 報告しましょう。



1.新年のこころ

めずらし晴れた朝、初日の出は見事な天気のもと拝むことができました。 朝6時半、羊蹄山の向うから神々しい光が差し込んできて、あたり一面は自分たちだけの世界、誰にも邪魔されない光溢れる空間が広がりました。新年の始まりに相応しい朝。頭の中にはさぞや立派な決意が…、「氣志團のサウンドは結構いけるぞ」「いやマツケンサンバの80人のバックも凄かったぞ」。 録画した紅白の余韻に浸り、まぁ、そんな程度のもんです。

おかあさんはお雑煮の用意、おとうさんは前夜のナイター勤務から続けざまに早番出勤。それぞれのスタートを切りました。出勤途上で雪壁越しに照らされる愛車「キャリィ」。湧き上がる雲を背景に、小粒ながらも凛々しい姿。パートナーはいずれも逞しく、いずれも可愛らしい。気合を入れなおす一瞬でした。



神々しい風景はこころを清楚にしてくれます。神妙な気持ちにさせてくれます。一年の気持ちを新たにするには、充分な環境でした。洗いなおされたこころで、今年一年の奮闘を誓い合う小柴家の仲間たちでした(そしてさっそく氣志團のCDをネットで探すのでした
)。


2.冬休み、かく奮闘せり

自由研究、思案の揚げ句にこうなりました。
ひとりはパン作りの実験的研究、もうひとりは大河ドラマの影響を受けて新選組の歴史的研究、大げさに言えばね。 まぁ自分たちの一番興味あることを調べてまとめたわけです。こういうソフトウェア的自由研究は、自分が子供の頃には思いもよらなかったことで、自分たちの子供とは思えない素晴らしさです。そしてこんな私たちは全くノー天気な親ばかです。

「焼きたて!! ジャぱん」
パン作りをテーマにしたこの子の夢は、パン屋さん。小さい頃はよくそう言っていました。いま流行りの「焼きたて!! ジャぱん」、彼のパンへの興味に再び火をつけました。この彼が、果たして「ジャぱん XX号」を生み出すのかどうか。結果はともあれ、仕事に対する純粋な憧れを育ませたいものです。

パン作りに触発された3人は、ついにケーキ作りに手を出しました。自由研究の総決算。3人でスポンジを焼いて、クリームを泡立てデコレーションし、至極ご満悦でした。食べてみて、あらビックリ。意外といけるじゃないですか。そしてなにより、うまいなぁと言って食べる私たちの姿を眺める彼らの顔に、なんともいえぬ満足感が満ち溢れていたのです。そうだよね、仕事の原点ってこういうことだったんだよね。
小柴ふあーむ スキー教室
スパルタで轟く 自称「虎の穴」。優しく手をとり足をとり…、なんてことはありえません。ストックで手足をびしびし叩きます。まず転倒起上りから、それが終わったら階段登り10連発。気合だぁー! スキーが初めての人って、立つこと、いや立っていること自体難しいんですよね。でも子供の適応力は素晴らしく、あっという間に身をこなせるようになり、ほらこのとおり。もうゴンドラ乗りまくりです。

スキーは自然を楽しむスポーツです。 天気が良くても悪くても、その状況を楽しめちゃいます。ニセコにはオーストラリア人が相当訪ねてきますが、猛吹雪でもガンガン滑ってニコニコしているんです。日本人なら「It isn't enjoyable」となりますが、Auzy連中は「We are enjoying」となります。ネガティブに自己暗示かけるより、自分のことは自分で価値付けするというのを見習うべきだと思います。我が家の3人組、ゲレンデでの時間を満喫しています。

スキー教室を終わり、家のおふろでからだを温め、おかあさんのご飯を暖かい部屋でみんなで囲む。少々からだが痛くても疲れていても、赤いほっぺでご飯をほおばり自然と微笑む。こういう時のご飯て、ほんとうに美味しく感じますね。自分が子供の頃にもあったように、冬の晩御飯はなにか特別なものとして、記憶の奥底に宿るような気がします。冬って、悪くないですよ。


3.アルバイトな一日

すでにお伝えのように「ニセコ東山スキー場」で季節労働者をしております。朝7時、先頭切って線路点検担当が飛び出します。一晩寝かせたワイヤーロープやプーリーは、凍れてガチガチに固まっています。無理に動かすとプーリーが偏磨耗し、ロープが外れます。それはそれはゆーっくりと動かし始めます。そして1本1本の鉄塔によじ登り、可動部分の雪を落としながら頂上へ向かいます(私はやりませんよ、正社員の皆様ご苦労様です)。

朝明けて間もないニセコアンヌプリ、その頂き目指して高度を上げていきます。光と影が織り成すダイナミックな世界。無線で途中の風や揺れの状態を運転室に報告しながら、各リフト要員が頂上目指します。頂上駅に着いたら一気に配属リフトへ滑り降り、雪に埋もれた設備を掘り起こします。営業開始までの1時間弱、気温−10℃、風速10mのなか頬を凍傷に侵されながら1日の体力の半分をここに集中投入するのです(現場小隊長の皆様ご苦労様です)。

標高1170m、スキー場最上部の勤務は雲と友達です。手を伸ばせば届きそうなところを雲が飛んでいきます。少々孤独な配置場所ですが、ここがお気に入りと言う人もいます。小さな監視小屋ですが、その持つ安全上の任務は重大です。リフト利用者の事故は降車時にこそ起きやすいのです(山頂勤務の皆様ご苦労様です)。


夕方4時、営業終了を控えスキー客が駆け込み乗車に急ぐころ、係員は別な場所で人知れず、ナイター営業の準備を始めています。ナイター用リフトを掘り起こすのです。通常営業の合間を見て人員を間引きし除雪要員に供出します。暮れなずむ雪の中、1人か2人で黙々と設備を除雪します。この時間、ちょっと孤独を感じます。

よる、9時までナイター営業が行われます。ホテルの宿泊客は精力的に滑ります。が、それも8時くらいまで。1人減り2人減り、ホテルの玄関へスキー客が消えてゆくのを感じながら、カクテル光線と雪面の切り絵を眺めています。早く帰りたいなぁ…、なんて思ってませんよ、勤務中ですから。決してそんなことありませんから。
脇役2題

パトロールの皆様ご苦労様です。脇役と言うにはあまりにも過酷で重要な方たち。社会的常識を持たないボーダーが多く、まさに命懸け。冬山や雪崩の知識を持たず、「山は みんなのものだろ!」と言いロープをくぐり深い沢に平気で入っていくボーダーたち。「ほっとけや!」「うぜぇんだよ!」「死にてぇんだよぉ!」と罵詈雑言を浴びながら2次災害の危険に身を晒すパトロールたち。もし事故でパトロールを巻き込んだとき、ボーダーたちはなんと言うのだろうか…。
私は言いたい、「山は あなたたちだけのものではありません」と。


Hello、Kitty!
社員の力作、場内の各所でお客様のお越しをお待ちしております。若い女性はもとより男性の方たちにも好評で、「へぇー!」と感嘆しながらリフトに乗っていかれます。確かに嬉しいかもしれませんね、こういう手作り感覚って。嘘がないですものね。


4.農地確保

今月のメインテーマ「日々是希望」そのものです。
難航しましたが、とにもかくにも今年種を撒き苗を降ろす土地を借りれました。先の読めぬ状況にもかかわらず、たった1年で土地を貸してもらうこと自体が希望そのものです。「小柴ふあーむ」の生産拠点は 蘭越町字黄金(って付くと田舎ムード満点でしょ?) となりました。
生産品との相性や拡充計画とのマッチング、そして住居設営の可否や地域事情など検証すべき問題はたくさんあります。ですからここが永久拠点となるかは明言できません。しかし北海道での生産活動の橋頭堡となるのは間違いない。私たちの生活がここから、ほんとうに始まるのです。



正攻法に続き バックアップ案その1+その2と、都合3つの策が必要となりました。そのたびに現地下見をおこない夢を重ねあわせ、まだ見ぬ将来の光景を目蓋に浮かべました。生産適合性はもちろんのこと、そこで年老いていく自分たちや帰省してくるこども達の姿を、毎回重ね合わせました。



いまはすべて雪の下にある。それが春になれば土が顔を出し、緑が吹出し、あたりは見違えるように活力に満ちてくる。そんな光景をいつもいつも思い浮かべながら、自分たちが意欲的に生産できる土地かどうかを考えていました。
1町4反6畝 = 14,600m = 4,424坪 = テニスコート 56面 = サッカー場 2面 = 東京ドーム 0.3個 …、これが拠点の大きさです。この土地で「小柴ふあーむの こども達」が育まれます。お伝えした商品ラインナップの生産計画を、畑にあわせて作成中です。トライアルロットと言えどもきちんとした商品をお届けしたい、当たり前のことが出来るよう情報を整理しながら調整中です。



5.北の零年

「小柴ふあーむ」の吉永小百合です。

映画「北の零年」が評判を呼んでいますが、我が家も心理的には開拓者と似たようなものです(少なくとも自分たちはそう思っているのですが…)。我が代表は午前と午後、毎日2回の除雪に精を出します。冬眠なんかしている暇ありません。雪との格闘を強いられます。が、どこか楽しげ。世間で言われるような悲壮感はないのです。「
We are enjoying!」 ここでも代表 吉永小百合(自称)の強みが発揮されます。


What's a lovely mass snow!  積雪は2mを越えユニークな光景が出てきました。
まず石油タンク、夏の間は見上げていたタンクが足元に埋まっています。 つぎは電話線、目の高さに来てしまいました。そして通学路、家の裏を歩き道道に降りるのはここです。このときは階段を刻めていますが、大概は絶壁状態に戻ってしまいます。子供たちはそこを滑り降り、攀じ登ります。これも逞しい!

昨年12月、雪が降り始めた頃と比べるとおもしろいでしょ? まだ2月に入ったばかり。春の声を聞くにはもうひと雪もふた雪もくぐらねばなりません。さてどうなりますやら。



今月もありがとうございました。
おかげをもちまして 取りあえずの農地を借り受けることが出来ました。
地域役員さんも色々と尽力してくれましたが
ご自身の後継問題が好転したこともあり
「バックアップ案その1」 も頓挫してしまいました。
それはお目出度いことですから 好とするべきですよね。

しかし行き先を変更せざるを得ない 小柴ふあーむ
調整地域を更に広げようと 農業委員会と話し合っていたとき
隣接地域のある農家が 手を挙げてくれました。
「施設園芸はこれから大事だ  手放してはならぬ」
地域でまだ3軒しかない施設園芸農家の補強に
私たち 小柴ふあーむ を指名してくださり
地域での調整役を 買って出てくれたのです。

こうして「バックアップ案その2」が浮上し 決め手になりました。
どうも私たちのことは 地域では相当聞こえているようで
今度の地主さんも 状況をご存知のようでした。
「へぇ〜、まさかあんたたちがねぇ、その人たちだったとはねぇ」
一生懸命やっていれば どこかで芽が出るかも
それを実感した 農地調整でした。

「日々是希望」
一日一日の積み重ねが いつか結実するときが来る
見えないかもしれないが 毎日が希望の種に満ち溢れている


春まではもう少しかかりますが どうぞ御自愛のほどを
ではまた


 
発行    編集局 制作責任 小柴孝志
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