小柴家の風景

'04年10月 「後片付け」    


 皆さん如何お過ごしでしたか?   北海道より 小柴です。 内地ではやっと猛暑が過ぎて朝夕がしのぎやすくなって来たと聞きました。 夏の疲れも出て体調管理が難しくなる時期ですね。

 また北海道では暖かい秋の後に山間部と平野部の冬到来が同時に来るという、ちょっとあずましくない10月でした。 ちょうど秋と冬の間で雪待ちで落ち着かないといったところでしょうか。

  もう寒くなってからやっと台風の後片付けにも手を付けられて…、という訳で10月度報告のテーマは「
後片付け」。 農家にとっての後片付けは来年に向けての準備でもあります。 今年の反省を踏まえ来春の方針を決めて、その準備に取り掛かる。   即ち、片付けは準備の始まり。 

今月はそんな風景をお伝えしましょう。


1.紅葉

東北・北海道の紅葉はその鮮明さで有名ですが、ここニセコ地域は道内でも更に見事な紅葉が観られます。 ニセコは広葉樹が広く分布しているので「山燃ゆる」壮大な箱庭風景となります。 札幌を中心とした都市部から毎週末にたくさんの方が訪れます。 さて農家との絡みはどうかというと、都市部からの訪問者は良いお客さんです。 残念ながら「見る眼」を持たないので、うわべの情報に釣られがちです。 そこに付入る不埒な輩も居りますので産直品購入はそれなりにご用心を。


2.畑
10月に入ればもう畑は淋しくなります。 メロンの最終出荷は9月末。 私たち夫婦2人で殆どのメロン畑を片付けました。 ビニールハウスも骨組みだけがキラキラと輝いています。 台風で傷んだ骨は交換し(100本以上の農家もザラ!)水平方向に走る部品は地面に伏せさせます。 こうしないと雪の重みでクシャクシャになるんです。
一方で秋野菜の栽培が並行しています。 白菜、だいこん、きゃべつ、ブロッコリーetc.。 今年は内地が台風で野菜不足、秋野菜の相場は急騰しています。 また小豆畑ではニオが並びますが、みんなコンバインですから皆さんが期待するような風景もいずれ見られなくなります。 そして馬鈴薯の出荷が済んだ倉庫には整備された機械がドンドン押し込められて来ます。 1台¥ン千万する機械も稼動期間は1年にたった1週間。 農家の減価償却費は経費の2〜3割に及び、経営の鍵を握ります。


3.秋

北海道の秋の風物詩をいくつか…。
氷雨  “ひさめ”日野美加の歌でご存知でしょう(古い?)。身体に当たるとひゃっこくて痛い、雨が固いんです。
降霜  “しもふり”とは違います。これが来るともう虫の煩わしさから逃げられます。

温泉  ご近所に7箇所もありイイお湯なんです。湯上りは自ずと御機嫌になれます。
観楓会 “かんぷうかい”と読みます。東北・北海道では秋に何かと宴会をしたがります。 自炊部付き温泉宿が湯治や宴会に役立っています。
秋はなぜだか人恋しくなります。 北国では収穫も終わり冬を前にしたこの時期、傷んだ身体を温泉で治し温かいものを食って酒飲んで労わりあう、そんな季節なのです。

4.堆肥
ミミズ、好きですか? ウニョウニョ、ウジャウジャ。 嫌いなんて言っちゃ罰が当たりますよ。 皆さんの食べ物はミミズのウンチから出来ているんです。 専業農家なら有機栽培は当たり前。 昨日今日の流行とは無関係に実施されています。
例えば1年以上寝かせたミミズたっぷりの完熟堆肥を土壌改良材(ミネラル成分)と一緒に雪の下でじっくり合わせる。 水掃けと肥料保ちを両立させ、気象変化や病気に強い土壌バランスを得るに有機資材の投入が必要です。 それがコストダウンと歩留まり向上の方法だと、当の農家たちは世間の狂奔と関係なく身に付けております。
各農家では「秘伝ぼかし造り」も行われています。人間は物理現象の恩恵に与かります。 同じ結果を目指してもアプローチは多種多様。 「秘伝」の作業が執り行われます。 この作業、夏の悔しさを忘れないうちに行うのが最良で、雪辱を期すべく「秘伝の薬味」調合に熱中します。 それは「こころの後片付け」と言えるかもしれません。


6.冬の予感

予感じゃなく、もう冬です。「ぁめっわっ っふっけっぎーにー…」なんて悠長なことを言わず、夕方から雪がバアバア落ちてきました。 翌朝、490Literホームタンク(中身は灯油)もすっかり綿帽子です。 最盛期には埋もるこのホームタンクが冬の命綱です。 490Literといっても1ヶ月もたないのです。 イラク戦争のお蔭で灯油価格も¥5/Liter上昇しており、1ヶ月当り¥2、500もコストアップです。 車の燃料費も影響を受け、北海道での初めての「冬の“ちょっと厳しそうな”予感」です。



私は昨年9月末に転進しました。「あっ」という間の1年でした。 しかし今も通過点のひとつに過ぎません。 仕事として生き方として農家を選び、それを身に付けていく作業が始まったばかりです。
今まで養ってきたことは無駄になっていないと感じています。 また かみさんは、現場や打合せを通してプロジェクト運営の当事者として逞しく(本当にたくましく)成長しています。 目標や苦労、喜びを夫婦で共有出来たとき、次の人生が開けてくると信じて、毎日を使っております。

今月もありがとうございました。
11月度は農地選定について報告できればと思っております。 どのような御縁に出会うか、どのような都合に左右されるか、どのような利害に呑まれるか。 今月を終わってみなければ分かりません。 辛うじて話の取っ掛かりが見え始めるかどうか、ってところだと思います。
「小柴家の風景」、これからも末永く宜しくお願い致します。
では皆さん、次回までお元気で。
 
発行 小柴家応援プロジェクト 編集局 制作責任 小柴 孝志
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